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  <title>タイム・コンサルタントの日誌から:C1 工場計画論</title>
  <category scheme="http://brevis.exblog.jp/i10/" term="C1 工場計画論" label="C1 工場計画論"></category>
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  <modified>2025-11-26T15:07:19+09:00</modified>
  <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
  <tabline>タイム・マネジメントとSCM専門家のエッセー・批評・考察集</tabline>
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    <title>工場ハードウェアの構造と、その現代的な『設計思想』を考える</title>
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    <issued>2025-11-26T14:36:00+09:00</issued>
    <modified>2025-11-26T15:07:19+09:00</modified>
    <created>2025-11-26T14:36:42+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[建築とレイアウトと動線と<br />
<br />
<br />
「ちょっと想像してみてください。もしも家の台所が1階と2階に分かれていたら、どうなると思いますか。冷蔵庫と流し台は1階にあり、ガスレンジは2階にある、と。それはどんなに不便か、お分りでしょう？」――これは、わたしが工場の建築レイアウトについて、よく使うたとえだ。「ところが、製造業のお客様の工場を訪問すると、こんなレイアウトをよく見かけるんです。モノづくりの工程が、上下階に分かれていて、途中に上下の移動が必要になっています。どんな結果が生まれるか、分りますか？」<br />
<br />
<br />
「工程間で互いに相手の状況が見えないから、作業の同期がとりづらくなりますし、そもそも垂直搬送自体が、時間とエネルギーのムダです。ところが、働いている人は、誰もそれを不思議と思っていません。なぜなら、工場ができた時から、そうなっていたからです。」<br />
<br />
<br />
日本は敷地が狭い。だからどうしても、工場は平屋ではなく多層階になる。それ自体は仕方があるまい。だがフロアが分かれると、いくつか弊害が出る。一つは視認性がなくなること、もう一つは垂直搬送が増えること。それは直接、生産性を阻害する。<br />
<br />
<br />
いや、生産性という言葉は誤解を招くかもしれない。機械1台あたり・作業者1人で加工組立できる数量は、平屋でも多層階でも変わらないからだ。だが同期がとれないと、「整然とした動き」ができなくなる。組織としての俊敏性が下がるのだ。もっと分かりやすく言うと、渋滞が起きる。結果としてリードタイムが長くなる。仕掛在庫量も増える。すると、スペースも圧迫する。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
レイアウトが不便な建物とは<br />
<br />
<br />
わたしは東急東横線・みなとみらい線を毎日通勤に使っている。でも（個人の感想だが）東横線の横浜駅のつくりは感心しない。人の流れを導く動線が、無理に遠回りするような感じを与えるからだ。昔は地上2階にあり、ホームも狭く混雑したが、動線に迷うことはなかった。2004年にみなとみらい線とつながり、地下化してできた現在の駅は、動線の方向が直感に反している。南北両側に連絡通路があるのだから、エスカレーターや階段は両側に別れて向かうべきなのに、中央に誘導するようになっている。<br />
<br />
<br />
混雑時のバッファリングなど、何らかの理由があってこうしたのだろうが、利用者にとって不自然である。東横線渋谷駅も、ある種似たような不便さを感じるので、これは東急電鉄の「設計思想」の結果ではないかと想像している。建築レイアウトの設計では、利便性とか安全性とかコストとか、いろいろな評価尺度がある。そして、すべてを満足させる解を作るのは難しい。その際に、どれを優先するかを決めるのが、設計思想だ。この駅の設計では、何か別の要素が優先され、結果として動線の視認性と利便性が犠牲となったのではないか。<br />
<br />
<br />
もう一つ例を挙げる。横浜みなとみらい地区にある、ランドマークプラザとクイーンズスクエアという二つの建物だ（神奈川以外の読者の方すみません）。超高層のランドマークの隣に、ひな壇のように三つクイーンズの建物がならぶ絵姿は、横浜の代表的光景になっている。前者は三菱地所が設計し、後者は日建設計が手がけた。<br />
<br />
<br />
だがこの二つ、動線の分かりやすさが天と地ほど違う。ランドマークプラザは自分がどこにいて、どの階のどの店にどう行けば良いか、きわめて明快だ。ところがクイーンズの方は、どこがどうつながっているのか、実に分かりにくい。クイーンズタワーA棟が勤務先なので、もうかれこれ25年以上使っているのだが、つい先日も「え、こんなところに誰も使わなそうなエレベーターが」と、新鮮な発見（笑）をしたくらいだ。<br />
<br />
<br />
建物というハードウェアは、外観の美しさも大事だが、それと並んで動線が大切だ。クイーンズは日本建築学会賞を受賞したが、審査委員の先生方は、本当に何日間も自分の足で歩いて使ってみて、審査されたのだろうか。建物は箱ではない。大勢の人が動く場だ。その動きが、きれいな層流なのか乱流なのか、考えるべきだろう。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
工場を「流れの場」として考える<br />
<br />
<br />
もっとも、人の動きを流体力学にたとえるのは、お前さんが建築出身ではなく、プラント屋だからだろ、と言われるかもしれない。別に否定はするまい。いわゆる建築美学とはかけ離れた、プラント・エンジニアリング会社で働いてきて、美術館にも教会建築にも携わったことはない。わたし達が設計するのはそうした「純建築」ではなく、工場とか研究所とか病院などの、機能的に複雑な建築物だ。<br />
<br />
<br />
わたし達プラント・エンジ会社の技術者の目からは、工場とは「人と物が流れる場」に見える。これは、製造業の生産技術や工務部門の人たちとは、相当違う視点だろうと思う。ほとんどの製造業の生産技術者にとって、この部品はどんな機械でどう加工するか、この複雑な製品はどう精度を確保して組立てるか、が命だ。部品をどう供給するか、人はどこで着替えるか、クリーンな空気はどこから供給するか、とかは付随的な問題に過ぎない。<br />
<br />
<br />
そして正直に言うが、エンジ会社は、製造業の顧客の本当に中核的な技術ノウハウには、タッチしない（できない）。それならば、どうやって工場づくりのインテグレーションができるのか？　中核が分からないのに、どうして周辺を決めて組上げられるのか？<br />
<br />
<br />
それは、人々がCPUチップの内部回路を知らなくても、自作PCを組上げられるのと一緒だ。CPUはパソコンの命だが、CPUだけではパソコンは機能しない。メモリや外部記憶や電源や筐体やキーボード・ディスプレイ・周辺機器がそろってはじめて、CPUが威力を発揮できる。PCを設計し組上げるのには、CPUの外部I/F要求を理解すれば十分で、必ずしも内部知識はいらない。ただしCPU以外の様々なデバイスを、性能やサイズやコストを勘案しながら、バランス良く決めなければならない。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
工場を「システム」として設計するために<br />
<br />
<br />
特にCPUにとっては、各種資源にアクセスするためのバスが大切だ。CPUだけが速くても、バスの能力が低ければ、システム全体のパフォーマンスが上がらない。バスは、信号の動線だ。同じように、工場の建物というハードウェアを建てるときだって、モノと人の流量と、動線の設計が大切なのだ。<br />
<br />
<br />
バスの能力問題は、CPUが遅いときはクローズアップされない。CPUを高速化しスケールアップ（多重化）していくと、システム全体のボトルネック工程が、CPUの外部に生じるようになる。工場も同じだ。小さな町工場に動線問題はない。だが工場を大きくし、生産量を拡大し、多品種化しようとすると、この問題がクローズアップされるようになる。だからこそ、工場の動線とレイアウト設計には、設計思想が必要なのだ。<br />
<br />
<br />
電子機器には回路図がある。だが、あなたは工場にも、モノの流れを表す「回路図」が必要だし、存在することをご存じだったろうか？　それが『マテリアルフロー図』であり、『メカニカルフロー・ダイアグラム』である。それがどういうものであるかは、ぜひ新著「攻めの工場づくり」（佐藤知一・丸山幸伸）を見ていただきたい。回路図なしに、工場を作ろうとしていないだろうか？　建築図面と機械図面があれば工場ができると思っている人にこそ、ぜひ本書を読んでほしい。<br />
<br />
<br />
工場は、各工程という機能要素と、その間を結ぶ動線というリンクからなる、一つのシステムである。それは製造設備だけでなく、物流設備や用役設備や空調設備や、建築というハードウェアの組合せで実現される。その上で人々が働き、モノが動き、さらに情報が流れる。それを動かすためのソフト（ITシステムならびに、人を動かす手順・ルール群）がいる。それを作り上げるのが「工場のシステムズ・エンジニアリング」だ。<br />
<br />
<br />
機械を買ってきて、建屋にポンと置けば工場ができた昭和時代から、今はここまで変わったのである。現代流の工場づくりの考え方が、我が国にももっと広まってくれれば良いと、強く願っている。<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202511/26/47/e0058447_14194270.png" alt="_e0058447_14194270.png" class="IMAGE_MID" height="375" width="500" /></center>「攻めの工場づくり」第9章より引用<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞<br />
「工場レイアウト設計の典型的問題と、そのエレガントな解決法」  (2016-07-16)<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>工場エンジニアリングに関する新著：「攻めの工場づくり」を刊行しました</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/33827693/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/33827693/</id>
    <issued>2025-11-17T10:31:00+09:00</issued>
    <modified>2025-11-17T10:50:33+09:00</modified>
    <created>2025-11-17T10:31:38+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[新著刊行のお知らせです。<br />
工場とは何か、どんな風に計画し、いかに作っていくかを、誰にも分かりやすく説明した本を、本日（11/17）発刊しました：<br />
<br />
<br />
<br />
「投資価値を最大化する『攻めの工場づくり』　〜　10のスマート化戦略」<br />
　　佐藤知一・丸山幸伸著<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202511/16/47/e0058447_21383373.png" alt="_e0058447_21383373.png" class="IMAGE_MID" height="480" width="299" /></center>（丸山幸伸氏は日揮の同僚で、医薬品工場をはじめとする非プラント系工場づくりのプロジェクトに、長年携わってきたエキスパートです）<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
電子書籍Kindle版は、11月17日よりAmazonから以下のurlにてお買い求めいただけます。<br />
　https://amzn.to/49pnLvW<br />
<o:p></o:p>　定価1,200円（ただし今週・来週ははキャンペーン価格で入手可能ですので、ぜひ早めにお申込みください）。そしてKindle読み放題の対象です。<br />
　なお、紙の書籍は2〜3週間後に販売開始となる予定です（予価2,500円）。あわせてご利用ください。<br />
<br />
<br />
<br />
日本にも海外にも工場は無数にあります。それはモノづくりの場所で、産業の基幹である製造業を支える役目を果たしています。しかし、工場とはそもそもどんな仕組みとして成り立っていて、どう作れば良い工場ができるのか、分かりやすく解説した本は、不思議なことにほとんどありません。<br />
<br />
<br />
中で動かす機械を決めて注文して、それを入れる建物を作れば、「工場」ができあがる。そう考える人も多いでしょうが、率直に言って昭和時代の発想です。物不足だが労働力は豊富だった頃の考え方だからです。かつ、その後の長い不況の間、工場新設は（一部産業を除いて）抑えられ、社内で技術を継承発展する事も難しい状況でした。その結果日本は、現代的なスマート製造の実現で、欧米や中国に後れを取る事態になりつつあります。<br />
<br />
<br />
このような状況を逆転するために、わたし達は筆を執りました。国内外で多数の工場・プラントづくりを手がけてきた日揮のエンジニアリング・ノウハウを、惜しみなく公開し、現代的な『仕組みづくり』としての工場設計・建設手法を詳述しています。現代的な工場設計の考え方が、上に書いた昭和的な発想といかに違うか、驚かれると思います。<br />
<br />
<br />
本書を読んでいただきたいのは、製造業で工場投資の意思決定に携わる方、具体的には以下のような方々です：<br />
経営企画部門で、工場立地計画や投資採算分析に関与する方々<br />
生産技術部門で、工場の増改築・リノベーション、製造ライン増設、そして新設に関わる機械系・電気制御系の技術者<br />
生産技術あるいは施設管理部門で、工場の建築面に関わる方々<br />
工場の製造部門・生産管理部門で、現場の実務に携わるスタッフ、あるいは購買・物流・品証その他工場内の業務に関わる方々<br />
製品開発・設計部門で、自分たちの設計図がどのような形で、製造プロセスに実現されるかに関心のある技術者<br />
製造業の情報システム部門や情報子会社の技術者<br />
<br />
<br />
<br />
また、製造業以外の方にもおすすめしたく思っています：<br />
ITエンジニアで、工場や製造の実務を理解したい方<br />
建築設計事務所、ゼネコンの設計部門の方<br />
工作機械、マテハン機械メーカーの方<br />
経営コンサルタント<br />
<br />
<br />
<br />
内容は実物を見ていただくのが一番ですが、とりあえず目次の一部をご紹介しておきます。<br />
<br />
<br />
序章：あなたの工場は「コストセンター」？<br />
【戦略１】立地選定・敷地計画<br />
<br />
「敷地」で工場の未来は決まる<br />
【戦略その３】生産方式とレイアウト設計<br />
<br />
レイアウトは利益を左右する<br />
【戦略その４】採算分析・投資判断<br />
<br />
巨額投資を成功に導く！「工場マスタープラン」の作り方<br />
【戦略その５】製造工程設計<br />
<br />
工場の設計は「回路図」で考えよ<br />
「製造工程の見える化」がライン設計の出発点<br />
<br />
【戦略その７】建築・空調設計<br />
<br />
「レイアウト」と「空間構成」で進化する工場へ製品品質と歩留まりを決める「空調設備設計」【戦略その９】ITシステム導入<br />
<br />
ITなんて怖くない！ スマートな工場の制御・ITシステム<br />
【戦略その１０】PMと立上げ組織<br />
<br />
工場づくり、誰に任せる？ 失敗しないアウトソーシングと契約の鉄則<br />
<br />
<br />
これから工場づくりに関わる方にも、今まさに工場を作りつつある方にも、そして、まだ予定はないけれど「現在の工場は、本当はどうあるべきなのか」を考えたい方にも、きっとヒントになると信じています。<br />
<br />
<br />
なお本書は2022年から1年半の間、日刊工業新聞社の月刊誌「工場管理」に連載した記事がベースになっていますが、全体構成の部分からかなり見直し、図表等もかなり描き直しました。より分かりやすく、実戦的な内容になっていると思っています。<br />
<br />
<br />
大勢の方に手に取っていただければ幸いです。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
佐藤知一＠日揮ホールディングス（株）<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>お知らせ：月刊「工場管理」に工場づくりの連載記事を執筆しています（ダウンロード可能）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30329874/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30329874/</id>
    <issued>2023-05-25T10:07:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2023-05-25T10:07:53+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[お知らせです。以前もご案内しましたが、日刊工業新聞社の雑誌「工場管理」に、『ゼロから始める新工場づくり　～人材の集まる工場ができるまで～』という連載記事を書いています（丸山幸伸氏と共著）。新しい工場を作る際のステップを、構想から始まり、マスタープランづくり、投資判断を経て、工場設計・資機材調達・建設・試運転まで、勘所とプロジェクト・マネジメントについて解説する記事です。<br />
<br />
<br />
連載は昨年8月からスタートし、今月発売の6月号で第11回目を迎えます。とくに第8回以後は、工場設計に関して、製造機械・物流設備・建築・空調・電気エネルギー・用役設備・制御ITシステム、といった多面的な分野に関し、エンジニアリング会社ならではの知見を込めた記事を続けますので、まさに連載も佳境に入った感があります。<br />
<br />
<br />
参考までに各回の章立てと内容を以下に紹介しましょう（来月分まで予告を兼ねて載せておきます）。<br />
<br />
<br />
第1回　新工場づくりの期待と悩み　（2022年8月号）<br />
工場のエンジニアリングとは、<br />
現場の悩み・その1 人材不足、<br />
現場の悩み・その2 投資不足、<br />
工場はコストセンターか、<br />
新たな投資の必要性、<br />
工場づくりに向く日本のエコシステム、<br />
「工場エンジニアリングの視点」とは<br />
第2回　工場のマスタープラン、その１：立地を選ぶ　　（2022年9月号）<br />
ゼロベースで「工場のあるべき姿」を考える、<br />
工場の立地はいろいろな経緯で決まっていく<br />
（サプライチェーンの中の地理的位置づけ・人材市場の地域状況・投資および操業コストの地域性・その他外部環境）、<br />
これからの工場はどこに行くのか<br />
第3回　工場のマスタープラン、その２：敷地の使い方を決める　（2022年10月号）<br />
敷地の使い方～あるケースから、<br />
ベテラン建築士の教訓、<br />
敷地の使い方で決めるべきこと、<br />
地域に対する「顔」と関わり方、<br />
工場を取り巻く法律（都市計画法・建築基準法・消防法）<br />
第4回　工場のマスタープラン、その３：生産形態を設計する　（2022年11月号）<br />
生産形態とは何を指すのか、<br />
4 つの代表的生産形態（見込生産 MTS ＝ Make to Stock、繰返し受注生産 MTO ＝ Make to Order、受注組立生産 ATO ＝ Assemble to Order、受注設計生産 ETO ＝ Engineer to Order）、<br />
教科書にない5 番目の生産形態とは、<br />
カップリングポイントとは何か、<br />
生産形態をデザインしよう<br />
第5回　工場のマスタープラン、その４：生産量・生産方式とレイアウト　（2022年12月号）<br />
生産数量と品種数を設定する、<br />
生産方式を考える（連続ライン方式・フローショップ方式・ジョブショップ方式・セル生産方式・固定ロケーション方式）、<br />
在庫ポイントと物流動線を考える、<br />
多層階レイアウトの課題<br />
第6回　マスタープランと投資判断　（2023年1月号）<br />
マスタープランの目的とは、<br />
操業までの工程とスケジュール、<br />
投資額と費用の見積り、<br />
経済性評価とＤＣＦ法、<br />
マスタープランからプロジェクト体制へ<br />
第7回　工場の分類とシステム的な特性を理解する　（2023年2月号）<br />
どこをベンチマークするべきか、<br />
プロセス系かディスクリート系か、<br />
製造データに関する違い、<br />
中央制御室の存在、<br />
生産システムの密結合と疎結合<br />
第8回　設計基本条項と生産品目　（2023年3月号）<br />
設計基本条項とは、<br />
生産品目とP-Ｑ分析、<br />
工場レイアウトと部品表、<br />
工場とは「モノの流れる場」である<br />
第9回　工場基本設計の全体像　（2023年4月号）<br />
設計とはどういう仕事か、<br />
工場設計のインプットとアウトプット、<br />
工場基本設計の全体像とアウトプット<br />
（製造設備計画、物流設備計画、ユーティリティ・給排水・衛生設備計画、空調設備計画、生産情報管理システム計画、電気エネルギー設備計画、建築計画）、<br />
工場の「回路図」を表すダイアグラム<br />
（ブロックフローダイアグラム、メカニカルフローダイアグラム、プロセスフローダイアグラム）<br />
第10回　製造機械の設計とレイアウト　（2023年5月号）<br />
工場機能の見える化、<br />
製品の製造工程（プロセス）を設計情報へ、<br />
工場の自動化レベルの設定・機械台数、<br />
メカニカルフローの作成、<br />
製造環境の設定とレイアウト<br />
第11回　物流設備の設計とレイアウト　（2023年6月号）<br />
モノの流れの整理、<br />
物量と荷姿の把握、<br />
物流の機能とは何か、<br />
自動搬送の種類、<br />
自動搬送設備を用いた新しい工場レイアウト（スタッカーフロー・モールフロー）、<br />
能力検討ならびに生産設備との取り合い<br />
第12回　制御/ITシステム設計　（2023年7月号）<br />
工場レイアウトと制御・IT システム、<br />
制御ITシステムは効率的レイアウトを助ける、<br />
IT システムへの苦手意識を克服する、<br />
IT システムの基本設計とは（ITアーキテクチャ・要件定義）、<br />
IT システム導入のプロセス、<br />
制御システムとIT システムの違い<br />
<br />
<br />
HPなお上記の記事は、雑誌発行を順次追う形で、日揮（株）ネクストファクトリー・ソリューション部のHPに、PDF版を掲載していきます。こちらは登録いただければ、無料でダウンロード可能です（現時点では第7回まで掲載済み）。<br />
<br />
<br />
なお、日揮は「プラント・エンジニアリング会社」として知られていますが、本連載記事はむしろ、化学プラントのような「装置産業」ではなく、主に機械・電気・食品・日用品など固体の製品を扱う、組立加工系＝「ディスクリート系」の工場を対象として、書いています。これは日本国内における工場の大半が、こうした人手の多く介在する職場だからです。<br />
<br />
<br />
とはいえ工場とは、人と設備と物品とツール群からなる、きわめて複雑な仕組みです。それを計画し設計し実現するために、つねに全体からの視点が必要です。本連載では、エンジ会社のシステムズ・アプローチを通して、あらためて工場づくりという仕事の勘所と面白さを感じていただけるのではないかと、自負しております。大勢の方に読んでいただければ、まことに幸いです。<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える　(3)MES/MOMの利点と課題</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30271332/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30271332/</id>
    <issued>2023-03-15T10:03:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2023-03-15T10:03:57+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[MES/MOMとは何をするITシステムか<br />
<br />
<br />
さて、製造スタッフレベルの仕事、すなわち「製造マネジメント業務」の機能をサポートするために、MES/MOMと呼ばれるITシステムが登場してきた訳ですが、これが、工場の外にいる（つまり本社や営業畑の）人たちには分かりにくい。というのは、すでにたいていの会社では、「生産管理システム」と呼ばれるソフトが動いているからです。<br />
<br />
<br />
それは自社の手作りソフトだったり専用パッケージだったり、あるいはERPのサブモジュールだったりしますが、とにかく中規模以上の会社では、生産管理システムと呼ばれるものを持っています。では、MES/MOMシステムは、それと何が違うのでしょうか。<br />
<br />
<br />
通常の生産管理システムの主要機能は、ざっくりいって、ラフカット生産計画の作成、指示書（注文書）発行、出荷請求、原価把握などをカバーします。<br />
<br />
<br />
生産計画に「ラフカット」という形容詞をつけているのは、システムから出てくるのが、大まかなスケジュールだからです。製造現場がそれに従って動けるような細かな粒度・ディテールは、持っていません。そこで多くの現場では、それを補うようなExcelや手書きボードで、詳細な生産スケジュールを回しています。<br />
<br />
<br />
また生産管理システムは、製造仕様や品質検査データも、扱わないのが普通です。品質判定の結果を取り込んで、製品在庫が出荷可能かのコントロールくらいはするかもしれません。しかし多くの場合、品質や製造条件のデータは、別のシステムや台帳に記録されます。<br />
<br />
<br />
ということで、先にあげた製造業の主要なKPIのうち、C（原価）とI（在庫量）はきちんとカバーしますが、D（納期）はアバウト、Qは範囲外、というのが生産管理システムの実像なのです。また現場の機械・モノと、直接のデータのやりとりをするI/Fも、ふつうは持ちません。<br />
<br />
<br />
他方、製造実行システムと呼ばれるMES/MOMは、生産管理システムがカバーしにくい4Mをコントロールし、３つの役割を果たします。<br />
<br />
<br />
4Mとはもちろん、Method（レシピ・SOP）、 Machine（設備・金型等のリソース）、HuMan（人財とスキル）、Material（個物と製造ロット）です。MES/MOMは現場の機械・デバイスとI/Fを持ち、データをやりとりします。モノの識別記号をセンサ等で読み取る機能も持ちます。これにより、現場の4Mをトラッキングし、コントロールできるのです。これにより、より目の細かな進捗・納期把握、トレーサビリティ、SOP実行、稼働管理などを可能にするのです。<br />
<br />
<br />
（ちなみに、SOPとはStandard Operation Procedureの略で、標準作業手順のことです。MESは現場作業者が、正しい手順にしたがって、ステップ・バイ・ステップで作業を進めることをガイドし、またその記録をとります。それにより、非熟練者でも一定品質の仕事ができるようサポートする訳です）<br />
<br />
<br />
３つの役割とは、詳細スケジューリングと指図などの計画・指示系の機能、SOPの実行と記録という実績・報告系の機能、そして、本社系ITシステムと現場の制御系システムを「つなぐ機能」（データI/F系）になります。<br />
<br />
<br />
MESのないスマート工場は考えられない<br />
<br />
<br />
ここにおいでの制御系技術者の皆さんはご存じの通り、自動制御分野の国際標準の一つに、ISA-95、略称S95があります。これは経営システムと製造マネジメント業務の間のインタフェースを定義した規格です。このS95のいうLevel-3＝製造マネジメント業務をサポートするのが、MES/MOMです。我が国の多くの業界では、製造マネジメント業務は人間系による「すり合わせ」で成り立ってきましたが、スタッフ不足と要求の増大により、すでに限界に近づいています。だからこそ、MES/MOMの導入が急務となっているのです。<br />
<br />
<br />
ところで、連続プロセス系と、組立加工などのディスクリート系を比較した場合、MES/MOMのあり方に、大きな違いがあります。それは、工場内の全体工程をカバーするようなデータ統合が、どのレベルで行われるか、という問題です。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/15/47/e0058447_09471588.png" alt="_e0058447_09471588.png" class="IMAGE_MID" height="303" width="500" /></center><br />
 <br />
<br />
<br />
この図はわたしが以前も自分のBlogに描いた図です。一番左に、ISA-95でいうレベルを示しています。上から順に、Level 4（ビジネス計画とロジスティクス）、Level 3（製造マネジメント）、Level 2（モニタリングと監視制御）、Level 1（センシングと操作のデバイス）、Level 0（生産プロセス）です。<br />
<br />
<br />
そして図の左右に、プロセス系とディスクリート系の事情を示します。プロセス系の場合、中規模以上の工場ではふつう、DCSやSCADAシステムによって、全体工程のデータがとられ、Level 2で統合されています。<br />
<br />
<br />
プロセス系のMESには、Historianと呼ばれる機能があり、これが下のレベルのDCS/SCADAから、工場全体の時系列データを受け取り、その履歴を圧縮して長期保存しています。<br />
<br />
<br />
ところが右側のディスクリート系の場合、各工程の機械がそれぞれバラバラに制御システムを抱えています。製造ライン化された部分は複数機械のPLCを束ねたSCADAがあったりしますが、それ以外は個別のままです。したがって、工場レベルでこれらの現場データを統合し保存する役割は、Level 3のMES/MOMが担わなければなりません。<br />
<br />
<br />
このため、ディスクリート系のMESは、制御系に近いOT的なデータを取り扱う機能と、上位系に近いIT的なデータを扱う機能を持つことになります。最近では、これをLower MESとUpper MESと呼んで区別することもあります。<br />
<br />
<br />
化学工場が機能性材料を扱い、次第にディスクリート的な生産方式にシフトする場合、このようなデータ統合のレベルの違いを意識しなければならない訳です。<br />
<br />
<br />
ただ、いずれにせよ、本社系と現場系をつなぐのがMES/MOMの重要な役割です。従来は、紙やExcelなど「情報」の形で、人間が加工・介在して、両者をつないできました。そこがボトルネックになって、伝達のスピードも精度も上がりませんでした。でも、本当は「データ」でつなぎたいのですよね。<br />
<br />
<br />
ここで、最初にご説明した、情報とデータの違いを思い出してください。いやしくも「スマート工場」を名乗るなら、Level 3の製造マネジメント業務も、やはりデジタル化されているべきではないでしょうか？<br />
<br />
<br />
MES導入の実態調査から見えたこと<br />
<br />
<br />
さて、わたしは（財）エンジニアリング協会で「次世代スマート工場のエンジニアリング」という研究会  の幹事をしています。この研究会では、経産省と野村総研から受託して、MES/MOMに関する導入実態調査を行いました。その2021年度の調査結果の中から、いくつか注目すべき点をご紹介したいと思います。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/15/47/e0058447_09471504.png" alt="_e0058447_09471504.png" class="IMAGE_MID" height="300" width="500" /></center><br />
 <br />
まず、調査した我々自身驚いたのですが、アンケート調査によると、回答してくれた製造業約90社のうち、約4割がすでにMESを導入していると答えました。業種は、プロセスもディスクリートも含む広範なものです。無論、これが日本の製造業全体の平均値を示すとは言えないかもしれませんが、4割はかなりの数字です。いわゆるマーケティング理論での製品普及曲線から考えても、MES/MOMはすでに普及期に入っていると言えるでしょう。<br />
<br />
<br />
ただし、導入している4割の企業の約半分は、実績系（履歴管理）のみに利用していると答えています。計画系機能の導入はまだ、課題があるようです。また、他のシステムとの「つなぐ」機能についてたずねたところ、導入ユーザの半分が生産管理システム（EPP等）とつなげていますが、現場系とつなげているのは、回答者数の1/4強でした。<br />
<br />
<br />
さらに、「あなたの職場においてMES/MOMの導入、機能強化・拡張の計画はありますか？」と質問したところ、製造業の回答者の33%が、MES/MOMの導入計画はないと回答しています。他方、拡張計画の有無は別として、すでにMES/MOMを利用中としている回答者の比率は31%（会社数ベースでは約4割）です。そして3～5年以内に導入予定との回答は19%に留まっています。<br />
 <br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/15/47/e0058447_09471549.png" alt="_e0058447_09471549.png" class="IMAGE_MID" height="262" width="500" /></center><br />
つまり、方やMES/MOMを導入し活用している企業群がある一方で、ほぼ同数の企業が、「導入の予定はない」と答えている訳です。すなわち、日本の製造業では、一種の「デジタル・ディバイド」現象が生じているのではないか？　これが、アンケート調査をまとめたわたし達の懸念でした。<br />
<br />
<br />
むすび<br />
<br />
<br />
さて本日は、計装制御技術会議にご参加の皆さんに向けて、ながながとMES/MOMについてご説明してきました。日本の化学産業は機能性素材分野にシフトしています。ところが、そこはバルクケミカル製品分野で親しんできた、従来の操業の考え方が通じないばかりか、工場のあり方自体が変わります。システム工学的にいうと、機械設備群は、密結合から疎結合になっていきがちです。それを統合するために、工場の中枢神経系統としてのMES/MOMが、ますます重要になります。<br />
<br />
<br />
ただし、ここで一点、あえて補足したいことがあります。それは、デジタル化は生産システムの矛盾を顕在化する、という事実です。「デジタル技術導入でスマート化」するぞ、というと関連各部はいろんなことが楽になると夢想します。しかしデジタル化は、それまで人間系でナニワ節的に調節されてきた、部門間のトレードオフやコンフリクトを顕在化します。<br />
<br />
<br />
そうでなくとも、仕事のやり方が少しでも変わると、「やりにくくなった」と抵抗感をもつのが会社員というものです。皆さんは社内に対して、工場のスマート化で、関連する全部門が今迄より、例外なく仕事がやりにくくなるぞと、最初にクギを刺してから、導入を推進されるようお勧めいたします。<br />
<br />
<br />
ご清聴、どうもありがとうございました。<br />
<br />
<br />
＜参考：「 国内工場におけるMES（製造実行システム）導入動向等調査 」（経産省/野村総研の委託調査）＞<br />
＜関連エントリ＞<br />
→「 ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える　(1)化学産業の変貌 」  (2023-02-28)<br />
→「 ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える　(2)工場のシステム工学」 (2023-03-06)<br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える　(2)工場のシステム工学</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30264146/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30264146/</id>
    <issued>2023-03-06T12:16:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2023-03-06T12:16:26+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[工場は「生産システム」である<br />
<br />
<br />
日本の化学産業は、機能性素材に経営資源を傾斜しつつあり、その製造のためのプラントは「ディスクリート・ケミカル工場」と呼ぶべき形に変貌してきました。では、そのような機能性素材・電子材料を製造する工場とは、具体的にどんなところなのでしょうか。<br />
<br />
<br />
イメージを掴んでいただくために、ネットで公開されている写真をいくつか並べておりますが、従来の屋外に機器が立ち並ぶプラントとは、随分様子が異なることがわかりいただけると思います。そして、このような工場の操業のあり方も、従来の連続型プロセスプラントとは異なったものになっていきます。<br />
 <center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/06/47/e0058447_12094762.png" alt="_e0058447_12094762.png" class="IMAGE_MID" height="276" width="480" /></center><br />
<br />
<br />
そもそも、工場やプラントの操業のあり方を考えた際に、そのスマート化のポイントとはどこにあるのでしょうか。これは工場をシステム工学の観点から見てみると明らかになります。<br />
<br />
<br />
システム工学の立場から見ると、工場とは生産のためのシステム(仕組み)、すなわち「生産システム」です。システムである以上、そのアウトプット、主要なインプット、そしてそのプロセスが問題になります。工場と言う名前の生産システムのアウトプットは、言うまでもなく製品です。<br />
<br />
<br />
では、生産システムの主要なインプットは何でしょうか？　もちろん原材料だ、と答えたくなりますね。それは30年前だったら正解かもしれません。しかし考えてみてください。原料があるから製品を作る、といったポリシーで操業している工場が今、どこにあるでしょうか。作っても売れるあてのない製品が、山のように積み上がる工場を、今どこの企業が許すでしょうか。需要のないところに製造は行いません。<br />
<br />
<br />
つまり、実は、生産システムの主要なインプットは需要情報なのです。原料部品や用役・副資材は、いわば、サブのインプットです。これらは需要情報に従って量や種類やタイミングが決められます。<br />
<br />
<br />
生産システムとは、需要情報というインプットを、製品というモノ（あるいは製品に実現された付加価値）に変換してアウトプットする仕組みです。<br />
<br />
<br />
そのシステムは、働く人々と、製造のための機械設備と、物流設備、それらを支える作業空間（建築）と、情報をやりとりするICT・データ、などの構成要素から成り立っています。<br />
<br />
<br />
このうち、働く人々と、製造のための機械設備類は、各社固有の競争領域に属するもので、それぞれ異なるでしょうし、あまり外部に開示されません。しかし、それ以外の物流・建築・ ICT ・データなどは、企業を超え、あるいは業種すら超えて共通性が高く、お互いに知恵を共有し合う価値のある協調領域に属します。だからこそ、今回みたいに計装制御技術会議などの催しが成り立つんですね。<br />
<br />
<br />
 <br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/06/47/e0058447_12094737.png" alt="_e0058447_12094737.png" class="IMAGE_MID" height="227" width="500" /></center><br />
工場レベルの「スマートさ」を実現するために<br />
<br />
<br />
ところで、生産のためのシステムを操業運転するには、どのような神経系統が必要でしょうか。システムを目標通り動かすためには、当然ながらまず、工場の操業の全体像を把握する、中枢神経に相当する機能が必要です。そして、生産システムの状態やパフォーマンスを測るKPIと、指示の伝達系（神経系統）が必要ですね。そこに、目標値をセットする働きがいるはずです。<br />
<br />
<br />
言うまでもなく、工場の全体パフォーマンスを測る代表的なKPIはQCD(I)です。QCD(I)は、Quality:品質、Cost：原価、Delivery：納期、そしてカッコにはいった(I)はInventory：在庫を表します。<br />
<br />
<br />
ただし、これらは通常、製品単位、あるいは月単位などにとらえられるマクロな指標であり、より詳細には、現場における「4M」が支えています。4Mとは、Human：人員、Machine：機械設備、Material：部品材料、Method：製造方法の略です。<br />
<br />
<br />
すなわち個別オーダー・レベルでの、品質トレーサビリティ・納期回答・個別原価把握のためには、4Mレベルでのモニタリングとコントロールとデータ蓄積が必要になります。<br />
<br />
<br />
そして4Mを追いかけるには、現場（末端）とスタッフ層（中枢）をつなぐ、神経系が必要になります。<br />
つまり工場のスマート化には、機械・ロボットなど「筋肉系」の増強だけでは足りないのです。また個別の機械にIoTセンサーをつけても、末端の感覚神経の強化にはなりますが、各工程がバラバラに動く「疎結合なシステムの問題」は解決しません。製造マネジメント業務に従事するスタッフ等の仕事を助ける、中枢神経の仕組みが必要なのです。<br />
<br />
<br />
MES/MOMの重要性<br />
<br />
<br />
ここで登場するのがMES/MOMと呼ばれるICTシステムです。MESとはManufacturing execution systemの略で、日本語では普通、「製造実行システム」と訳されます。MOMとは Manufacturing operations managementの頭文字で、「製造オペレーション管理」という概念を表します。<br />
<br />
<br />
MESという語が先に普及し、後からMOMという概念が追いかけたため、業種業界によって2つの用語が混在したり、使い分けられたりしています。MESは製造に特化していて狭義、厳密にはMOMの方が広義とも言われるのですが、ここではMES/MOMと併記することにします。<br />
<br />
<br />
図をご覧ください。製造業のデータの流れは、大きく、本社レベルと、製造スタッフレベル、そして製造現場レベルに区分することができます。<br />
<br />
<br />
 <center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202303/06/47/e0058447_12094723.png" alt="_e0058447_12094723.png" class="IMAGE_MID" height="285" width="500" /></center><br />
複数拠点の生産・販売・在庫計画システム（SCM）、原価・人事・調達管理システム（ERP）、そして設計情報システム（PLM）などは、主に本社レベルで使われるシステムです。<br />
<br />
<br />
図の1番下、製造、現場レベルでは、機械や装置の制御システムとして、DCS、PLC、IoTセンサー等が活躍しています。<br />
<br />
<br />
問題は、その中段にある製造スタッフレベルの業務、すなわち、製造マネジメントの機能です。製造スタッフとは、生産管理、生産技術・設備保全、QC/QA、資材購買など、工場のオフィスフロアで働いている人々です。彼らはしばしば、製造現場を見下ろす中、2階にオフィスがあるため、中二階の人々と呼ばれたりもします。<br />
<br />
<br />
そしてわたしが見たところ、どこの工場でも、製造スタッフの人が足りないのです。それは、品質トレーサビリティや頻繁な納期変更などの、外部要求が急速に高度化してきたためです。現場のワーカー不足はよく知られていて、次第に社会問題化しています。しかし、工場で働くホワイトカラーの人手不足問題は、企業もまだ、あまり認知していないようです。<br />
<br />
<br />
MES/MOMシステムは、まさにこのホワイトカラーの担う製造マネジメント業務を助ける仕組みであり、現場と中二階と本社をつなぐ神経系統としての役割を果たすものです。それがどのようなものか、そして導入にはどのようなメリットとハードルがあるのかについて、最後にまとめたいと思います。<br />
（この項つづく）<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞<br />
「ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える　(1)化学産業の変貌」 (2023-02-28)<br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える (1)化学産業の変貌</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30258236/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30258236/</id>
    <issued>2023-02-27T10:42:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2023-02-27T10:42:05+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[今月の14日に、「計装制御技術会議」という催しで、『ディスクリート・ケミカル工場 ～ そのスマート化を考える』というテーマの講演を行った。『ディスクリート・ケミカル工場』とは、わたしが2019年に「化学工学」誌4月号の解説論文で提唱した概念で、このサイトでも少し紹介したことがある（お知らせ：『化学工学』誌に論文『ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える』が掲載されました2019-03-30）。<br />
<br />
<br />
実はこのコンセプト自体は、その前年に、同じ「計装制御技術会議」で披露したものだった。したがってある意味、今回の講演はその続編にあたるが、幸い、今回も比較的好評だった。ただ、この会議は文字通り計装制御系（とくにプラント分野）の専門技術者が集まる場のため、他分野の方にはあまり知る機会がなかったと思う。そこで、当サイトで紙上再現をすることにしたい。全体は50分程度と長いため、多少細部は省略してお届けする。<br />
<br />
<br />
◇- — -◇- — -◇- — -◇- — -◇<br />
<br />
<br />
ただいまご紹介にあずかりました、日揮ホールディングスの佐藤です。実はこの計装制御技術会議では、2018年にも呼ばれて、よく似たタイトルで講演しましたが、それから考えの進んだ部分もありますので、あらためて今日は最近のトレンドについてお話ししたいと思います。<br />
<br />
<br />
話は全体で、大きく三つの部分に分かれます。まず最初に、日本の化学産業の変貌と『ディスクリート・ケミカル工場』の概念についてお話しします。つぎに、システム工学の視点から工場とその神経系統について考えます。システム工学の専門技術者である皆さんに、ぜひ吟味いただきたい論点です。<br />
<br />
<br />
そして、ディスクリート・ケミカル工場におけるMES/MOMの課題について議論したいと思います。最後の部分では、わたしの関わっている（財）エンジニアリング協会「次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」での最近の調査結果なども踏まえて、実態をご紹介します。<br />
<br />
<br />
さて、わたしは長年、エンジニアリング会社で製造業やエネルギー産業のお客様向けに、工場やプラント作りの仕事に関わって参りました。我々の目から見ると、工場の種類は非常に多種多様です。工場の外見による分類、製造工程の構造による分類、品種の連続性による分類など、切り口もいろいろあります。ただ、一番大きな違いは、やはり製造工程によるプロセス型とディスクリート型の区分かもしれません。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202302/27/47/e0058447_10260553.png" alt="_e0058447_10260553.png" class="IMAGE_MID" height="293" width="480" /></center><br />
 <br />
<br />
<br />
写真左下は、プロセス型の典型であるエチレンプラントです。右上は、ディスクリート型の典型として、航空機エンジンの整備工場をあげています。いわゆる機械加工組立型の工場です。真ん中はある意味、その中間形にあたる飲料の工場で、いずれも当社の建設した実績です。<br />
<br />
<br />
ちなみにプロセス型の製造設備を「プラント」と呼び、組立加工型の設備は「工場」と呼ぶのが普通ですが、英語ではどちらもPlantです。工場長はplant manager、自動車工場はautomotive plantですから、この呼び方の区別は、日本独特のものだとわかります。<br />
<br />
<br />
さて、プロセス型とディスクリート型の工場の最大の違いは、どこにあるでしょうか。それは、プロセスプラントには、中央制御室があることです。そこでは、制御システムと多数の画面が並び、ボードマンたちが工場内で起きている様々な事象を監視しながら、バルブを開けたりポンプを起動したりといった指示を現場に下しています。もちろん、現場にも大勢の人が働いているのですが、中央制御室から工場内の全体の動きがわかる点が特徴です。<br />
<br />
<br />
ところが、ディスクリート型（組立加工）工場では、様子が全く違います。近代化した工場にはNC工作機械など、多数の自動化された機械が並んでいますが、いざ建屋の外に1歩出て、扉をバタンと閉めてしまうと、中の機械が動いているか止まっているかすら、分かりません。ディスクリート型工場には基本的に、中央制御室がない。こう言うと、プラント分野を専門とするわたしの会社の先輩たちは、驚いた顔をします。<br />
<br />
<br />
ディスクリート型工場で生じやすい典型的な問題が、いくつかあります。こうした工場で扱う対象物は基本的に固体なので、モノをどこにでもおくことができます。そのため、物探しが生じるわけで、所在管理が必要になるのです。そればかりか、全体の在庫数量がわかりにくいと言う問題が生じます。<br />
<br />
<br />
これはプラント分野では起こり得ない問題です。なぜなら、プラントで扱うものは、ガスや液体などですから、必ずタンクなど容器に入れて保管しなければなりません。ふつうタンクには液面計がついていて、その量は正確に捉えられ、中央制御室にも表示されるからです。<br />
<br />
<br />
さて、在庫量がすぐにわからない事は、すなわち物の動きの量も捉えにくい事をも意味しています。対象物は固体ですから、コンベアやAGVで運んだりしますが、何なら手で持ち運ぶこともできます。そこには流量計もなければ調節弁もありません。物の動きが捉えられないので、搬送の無駄も生じやすくなります。<br />
<br />
<br />
結果として、工場のレイアウト設計の良し悪しがわかりにくいと言う問題が発生します。私がよく使う例えなのですが、もし家の台所が、冷蔵庫と流しは1階にあり、ガスレンジが2階に置かれていたら、いかに不便か想像がつくと思います。ところが日本の工場は、敷地が狭いために多層階になるケースが多いのですが、訪問してみると、上下に分かれた台所のように、無駄な垂直搬送がしばしば目につきます。それでも、そこに働いている人たちは、最初からそうだったので、何も不思議と思わずに作業を続けているのです。<br />
<br />
<br />
そして最大の問題は、工場全体の操業状態が分かりにくいことです。工場全体や各工程の負荷状況や余力が見えないので、適切な指示や変更も出しにくいことになります。<br />
<br />
<br />
すなわち端的にいって、ディスクリート型の工場とは単なる工程の集合体であって、スマートなシステムではないと言うことになります。<br />
<br />
<br />
ところで、プロセス型とディスクリート型の工場は、なぜこのような違いが生じるのでしょうか？　答えは意外と単純なところにあるのです。それは扱うマテリアルが流体か固体かの違いから生まれます。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202302/27/47/e0058447_10255978.png" alt="_e0058447_10255978.png" class="IMAGE_MID" height="259" width="500" /></center><br />
 <br />
<br />
<br />
表をご覧ください。ディスクリート型工場で扱うマテリアルは固体です。固体はどこにでも置けますから、いつでもストック可能です。搬送するには、コンベアやAGVなどを使いますが、台車や手で運ぶこともできます。<br />
<br />
<br />
そして、それぞれの工程の機械装置のスタート・ストップは、上流下流に関係なく自由に行うことができます。仮に、下流工程が止まっていて、上流側だけ動いたとしても、できた仕掛品はどこかそこら辺に置いておけばいいからです。このため、機械装置のコントロールは、機械単位に分散しており、普通は機側盤からパネルで操作します。<br />
<br />
<br />
ところで、連続プロセスでは状況が全く異なります。扱うマテリアルは液体や気体、あるいは粉体などの軟性物質です。こうしたものはそこら辺に置くことができませんから、必ずタンクや容器等の保管設備が必要になります。搬送には、配管とポンプが必要になります。<br />
<br />
<br />
そして連続プロセスでは、各工程が配管でつながっていますから、上流側と下流側を独立して起動停止することができません。下流側が止まっているのに、上流側だけが動き出したら、中間タンクが溢れてしまうからです。上流・下流は原則として連動する必要があり、結果としてプラント全体をDCSやSCADAで集中制御する必要が生じます。<br />
<br />
<br />
結果として、ディスクリート型工場は、疎結合な工程の集合体（モジュラーなシステム）であるのに対し、連続プロセス型の工場では、密結合のインテグラルなシステムになることがわかります。これをポンチ絵で示したのが次の図です。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202302/27/47/e0058447_10255219.png" alt="_e0058447_10255219.png" class="IMAGE_MID" height="278" width="500" /></center><br />
<br />
 <br />
図の上は、インテグラルな密結合のシステムを表します。各要素は、それぞれ他の多くの要素とつながっています。このようなシステムを設計する際には、最初から全体効率が最大になるような設計を行います。また、全体を見通せる情報のハブが存在するのも特徴のひとつです。これが中央制御室に当たります。<br />
<br />
<br />
ただし、問題もあります。それは一箇所のトラブルが、全体に影響しやすい点です。ちょうど湘南新宿ラインのようなものです。首都圏にお住まいの方はご存知でしょうが、湘南新宿ラインは、それまであった東北線・高崎線・横須賀線・湘南電車の4つを、新宿で密結合して作った路線です。その結果、東北で車両故障が起きると、湘南で電車が止まるという不便が生じるのです。<br />
<br />
<br />
これに対し、図の下側はモジュラーな疎結合の集合体を表します。比較的独立した要素グループ間が緩やかにつながっており、それぞれが局所最適で動くため、全体の効率性はやや劣ります。自律分散で、意思決定が複数カ所で行われるのが特徴です。そのかわり、ローカルな問題が局所的に解決可能な点が長所です。<br />
<br />
<br />
さて、ここからが大事な点なのですが、聴衆の皆さんは長年プロセスプラントの分野で、密結合なシステムの制御と操業に関わってこられました。しかし、日本の化学産業においては、そこに大きな変化が押し寄せているのです。<br />
<br />
<br />
グラフをご覧ください。これは「会社四季報」から、化学の業種分類に属する上位20社の企業を選び出し、15年前、5年前、直近の3つの年次に渡り、売上高とその中の機能性素材の部分を積み上げたものです（ただし近年大型の合併で直近の会社数は19社に減りました）。ご覧の通り、2006年から最近までの15年間に、日本の化学産業は着実に売り上げを増加させてきました。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202302/27/47/e0058447_10254811.png" alt="_e0058447_10254811.png" class="IMAGE_MID" height="192" width="500" /></center><br />
<br />
その中で直近の2021年度では、機能性素材関連の売り上げの比率は33%あります。15年前は27%でした。売上金額自体も3.7兆円から6.8兆円に、ほとんど倍増しています。もっとも、どこまでを機能性素材と捉えるかは各社によって違いがありますので、ここではセグメント別売り上げで「機能性素材」・「電子材料」・「特殊樹脂」等の記載があった部分を集計しました。端的にいって、日本の化学企業の収益は、いわゆるバルクケミカルよりも、機能性素材が支えていることがわかります。<br />
<br />
<br />
これら、機能性素材の製品は、多くが固体、ないし準固体（成型品・シート・フィルムなど）です。原料はペレットであったり、粉体あるいはロールが多いという特徴があります。もちろん流体も使われますが、連続流体ではなく、ディスクリートのハンドリングが必要です。<br />
<br />
<br />
このような形態の工場を、「ディスクリート・ケミカル工場」と呼んではどうかと、以前からわたしは提案しております。ディスクリート・ケミカル工場の特徴をあげると、以下の5点になります。<br />
<br />
<br />
第一に多品種です。細かな仕様の違いをもつ製品が多数あります。ただしそれは、添加成分や表面処理等が変わるだけで、製造工程の形はほぼ同じになります。BOMは「I型」ないし「T型」です。<br />
<br />
<br />
第二に、変量生産です。市場拡大に伴う需要変動が大きく、工場設計時点では、品種別生産量が予測できません。また工場に拡張性が要求される点も大事です。<br />
三つ目に、従来のバルクケミカルのような見込み生産ではなく、繰返し受注生産形態になります。ユーザである電子業界や自動車業界の注文に、機敏に従う必要があり、しかも短納期の要求がふつうです。<br />
<br />
<br />
そして新製品の導入に伴う試作改良が多く、量産と試作がしばしば混在します。<br />
最後に、製造工程は高度なクリーン環境を要求されることが多い点も特徴です。<br />
このような特徴のディスクリート・ケミカル工場は、どのように制御し操業すべきか。この問題について、今日は皆さんと一緒に考えてみたいのです。<br />
（この項つづく）<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞<br />
「お知らせ：『化学工学』誌に論文『ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える』が掲載されました」　　(2019-03-30)<br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>Auto Plot PATHFINDER ～ 多目的最適化エンジンを用いたプラント・レイアウトの自動設計 (2)</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30133387/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30133387/</id>
    <issued>2022-10-01T18:48:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2022-10-01T18:48:24+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[（前回からの続き）<br />
わたし達の作り上げた、『Auto Plot PATHFINDER』と名付けたレイアウト自動設計のシステム構成は、以下のようになっています：<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18034943.png" alt="_e0058447_18034943.png" class="IMAGE_MID" height="81" width="500" /></center>レイアウト自動設計システム『Auto Plot PATHFINDER』の機能構成（前回記事の再掲）<br />
<br />
<br />
<br />
全体は大きく4つの機能モジュールからなります。<br />
<br />
<br />
最初の「①機器グループ化」は、プラントのPFD (Process Flow Diagram)と、機器リストを主要なインプットとして、機器のグループ化を行います。PFDとは、プロセスシステムを構成する機器類と配管による機能的関係を図化したもので、いわば化学プラントの回路図に相当します。この回路図PFDは、業界内ではほぼ世界共通の記法で描かれています。機器リストとは、PFDの構成要素である機器の各種諸元データを並べた、一種のデータベースです。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18113893.png" alt="_e0058447_18113893.png" class="IMAGE_MID" height="348" width="500" /></center>PFD (Process Flow Diagram)=化学プラントの回路図<br />
<br />
<br />
プラントの全体を「ユニット」と呼ぶ機器グループに分割する作業は、従来プロセス・エンジニアが、機器間の機能的連関性を判断しつつ、行ってきました。これはこれで合理的だったのですが、今回わたし達は、Graph Clusteringの手法を用いて、より精密なグループ化をすることにしました。そして、従来よりも細かな単位の機器グループに分割することで、最適化の余地を高めています（この手法は当社の特許です）。<br />
<br />
<br />
今回は、ある化学プラントを題材に、結果を示します。本プラントは137基の機器と、それらをつなぐ513本の配管からなります。我々はグラフ・クラスタリングにより、これらを27の機器グループに分解しました。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18135284.png" alt="_e0058447_18135284.png" class="IMAGE_MID" height="292" width="480" /></center><br />
次の「②単位面積計算」とは、①で分割した各機器グループの所要面積を計算するモジュールです。この計算は二段階からなります。<br />
<br />
<br />
<br />
まず、各機器それ自体の必要な専有面積を、基本的なサイズ等の諸元と、その機器回りの配管等の取り回し、ならびにメンテナンスのためのアクセス性を考慮して、3次元的な空間とその投影面積を出します。たとえば、先にお話ししたように、熱交換器は定期的に中のチューブバンドルを引き抜いて、洗浄しなければなりません。そうした引き抜きスペースも考慮に入れるのです。<br />
<br />
<br />
次に、機器グループ内での相対的な位置を計算し、グループ全体が必要とする形状・面積、そしてパイプラックへのアクセス方向を割り出します。ここに、ベテラン・エンジニアの設計ノウハウを形式知化（ルール化）した知識が活きるのです。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18154957.png" alt="_e0058447_18154957.png" class="IMAGE_MID" height="204" width="480" /></center><br />
<br />
<br />
「③最適なグループ配置」では、遺伝子アルゴリズムGA (Genetic Algorithm)を用いた多目的最適化エンジンを回します。インプットとなるのは、機器グループの形状・所要面積、対象エリアの全体形状、そしてパイプラックのトポロジーです。<br />
<br />
<br />
パイプラックとは、プラントにおける配管用の通路で、多くの場合は中心軸にメイン・パイプラック、そして、そこから垂直に枝のように張り出したサブ・ラックからなります。<br />
<br />
<br />
今回のケースでは、敷地の南北方向（縦方向）にメイン・パイプラック、そして西（左）側に1本のサブ・ラック、東（右）側に2本のサブ・ラックがあるようなトポロジーを与えています。4本のラックの太さは決めてありますが、絶対的な位置や長さは決めず、最適配置計算の中で自動調整していきます。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18181288.png" alt="_e0058447_18181288.png" class="IMAGE_MID" height="374" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
多目的最適化計算においては、配管コストとエリア面積の2つの評価関数をとり、全部で30ケースの希求水準を設定して、GAを回してみました。その計算結果を下図に示します（ただしデータが多いため、一部のケースのみを抽出しています）。図中の各点は、それぞれのレイアウト結果を表します。色はGAの世代によって分けています。◆は、満足化トレードオフ法で設定した「希求点」の例です。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18202466.png" alt="_e0058447_18202466.png" class="IMAGE_MID" height="604" width="500" /></center><br />
遺伝子アルゴリズムGAは、世代を重ねる毎に、希求点に向かって近づいていこうと進化します。この図では、右上から左下に向かって、いくつかの進化系列が見て取れます。しかし、あるところまで進んでいくと、見えない壁にぶつかったように、進化が止まってしまいます。それは問題の性質上、超えられない限界です。<br />
<br />
<br />
たとえば縦軸はエリアの面積ですが、これは機器グループの面積の合計より小さくなることは、理論的にあり得ません。また横軸の配管物量（配管径と配管長の積和）も、ある種の最小値があるはずです。しかもトレードオフがあるため、両者は同時に最小化できませんから、全体としてはグラフで左上から右下にかけて、「見えない壁」として下に凸のカーブが存在するはずです。これを多目的最適化のパレート境界 Pareto Frontといいます。<br />
<br />
<br />
パレート境界上にある点は、どれも「最適解」（非劣解）です。このように多目的最適化問題では、全体最適の解がたくさんあるのです。たとえば上図の点A・B・Cは、いずれもパレート境界近くの設計結果を示していると考えられます。そこで最適解の中から、「さらにベストな」答えを探さなければなりません。ここから先は、定性的評価の出番で、まさに計算機ではなく人間の存在価値が活きてくる場面です。<br />
<br />
<br />
そこでわたし達のAuto Plot PATHFINDERシステムでは、グラフ上に表示した任意の点を選択して、その配置イメージを表示できるようにしています（「④ 3D可視化」機能）。たとえば、代表的なレイアウト結果のA・B・Cを見てみましょう。パターンAは配管コストが比較的低く、プロット面積が大きくなっています。一方Cは小さな面積ですが、そのかわりに配管コストが高くなります。BはAとCの中間のスコアを持っています。このように個々の配置は大きく異なり、様々なレイアウトが自動生成されているのです。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18290337.png" alt="_e0058447_18290337.png" class="IMAGE_MID" height="347" width="480" /></center><br />
<br />
<br />
エンジニアは、これらの3Dイメージを見て、操作性・保守性・安全性・建設性などの観点から、その良し悪しを吟味します。そして、必要があれば、一部の機器の位置を修正したり固定したりして、再度、最適化エンジンを回すこともできます。またOKであれば、配管の自動ルーティング・システムに持ち込み、さらに本格的な3D-CADシステムで詳細モデリングに進むことになります。<br />
<br />
<br />
冒頭に申し上げたとおり、従来、Plot Planの作成には、熟練技術者でも2～3ヶ月の時間を要し、かつ複数ケースを作成・比較することは、ほとんど困難でした。本システムによって、ようやく複数の最適解を選択肢として選ぶことができるようになりました。複数の3Dモデルを比較・選択することで、設計の質を向上させ、また人間の発想に縛られぬアイデアを得ることができるのがメリットです。<br />
<br />
<br />
以上をまとめます。本システムの特徴は、次の通りです。<br />
<br />
<br />
設計とは多目的最適化問題である、というコンセプトに基づいています<br />
希求点の設定は、エンジニアにとって直感的でわかりやすい<br />
システムが自動的に複数ケースの最適解を生成します。いいかえると、人間の仕事は、定性評価と修正を行うことであり、複数ケースの中から、もっとも『満足度』の高いPlot Planを選べるようになりますFEED（プラント基本設計）およびEPCの初期の業務フローに、シームレスに組み込めます<br />
<br />
<br />
<br />
そしてもう一つ、機械学習ではなく、多目的最適化技術による設計問題へのアプローチであることも協調しておきます。「AI設計」という標語を、我々も社内で使ったりするのですが、今、世の中で言われているAIとは主に機械学習です。機械学習は原理的にパターン識別であって、そのままでは設計問題には使えません。設計ルールに従い、解を自動的に生成し、それを進化・強化していく方法でなければ、自動設計のツールにはならないのです。<br />
<br />
<br />
2018年末に、当社は「IT Grand Plan 2030」を発表しました。本システムによるプロットプランの自動設計は、設計のイノベーション・プログラムの重要なマイルストーンに位置づけられます。開発と実用化までには、3年半かかりましたが、少なくともエンジニアリング業界の最先端を行くツールであると自負しています。<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202210/01/47/e0058447_18330152.png" alt="_e0058447_18330152.png" class="IMAGE_MID" height="351" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
そしてなにより、Auto Plot PATHFINDERは、単なる設計作業の効率化ツールではなく、最適設計ツールであることを申し上げて、本報告を終わりたいと思います。<br />
<br />
<br />
（以上）<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞<br />
　  (2022-09-26)<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>Auto Plot PATHFINDER ～ 多目的最適化エンジンを用いたプラント・レイアウトの自動設計 (1)</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30128468/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30128468/</id>
    <issued>2022-09-26T08:56:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2022-09-26T08:56:39+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[（先週9月17日に開催されたスケジューリング学会の年次大会「スケジューリング・シンポジウム2022」で、首記のタイトルの講演発表を行った。発表の共著者は、小生の他に、日揮グローバル（株）の山田祥徳・小糸弘之・嘉山陽一殿、そして香川大学の荒川雅生教授である。<br />
<br />
<br />
<br />
本テーマはプラントのレイアウト設計であって、スケジューリングとは直接関係が無いが、最適化手法の専門家が多く集まる学会のため、あえてこの主題で発表させていただき、おかげで発表後も会場で有益なディスカッションができた。ただ、学会の場はどうしてもアカデミアの方が中心となり、実務者の参加は多くないため、本サイトでも、紙上講演の形で再現させていただくことにした。なお、ご興味がある方は、末尾の学会予稿集論文を参照されたい）<br />
<br />
<br />
◇- — -◇- — -◇- — -◇- — -◇<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ただいまご紹介いただきました、日揮ホールディングスの佐藤です。本日はプラントのレイアウト自動設計について、この3年半ばかり取り組んできた成果について発表させていただきます。<br />
<br />
<br />
化学プラントや石油プラントにおけるレイアウトの設計は、その投資額と操業費用を左右する重要な因子で、ある意味、エンジニアリング会社の競争力の源泉の1つともいえます。しかしレイアウト設計は、数多くの要素を考慮に入れなければならない複雑なプロセスのため、従来は熟練したエンジニアが、数週間かけて、ようやく1つの案を作成することができました。できるなら、複数の案を作成し比較検討して、より良い提案をしたいのですが、そのような時間は多くの場合許されません。<br />
<br />
<br />
いわゆるプラントの基本設計の手順は、大きく4つの段階からなっています。最初に、プロセス・システム全体の物質収支とエネルギー収支をとって、全体システムとして必要な性能と、機能的な制約条件を満たすように、装置構成と各機能を決めます。この結果は、Process Flow Diagram = PFDと呼ばれる図面に表現されます。<br />
<br />
<br />
次に、プロセス・システムを構成する各装置の機能要件から、その装置のサイズや段数・材質等の諸元を計算して定めます。その結果は、機器リストと呼ばれるデータベースに格納します。<br />
<br />
<br />
3番目に来るのが、レイアウト設計のステップです。すなわちPFDと機器リストをもとに、機器群のレイアウト・配置設計を行います。レイアウト設計の結果を表明した平面配置図のことを、プロットプランPlot planと呼びます。<br />
<br />
<br />
最後に、レイアウト設計の結果を受け、プラント配管の流体力学的な制約、あるいは制御の要求を考慮し、スタートアップやシャットダウン時の必要性なども勘案しながら、プロセスシステムのより詳細な構成と機能を定めます。この結果は、Piping &amp; instrumentation diagram = P&amp;IDとよばれる図面に集約されます。<br />
<br />
<br />
プロットプランを作成する際は、最初にマクロな視点から制約条件を考えます。具体的には、まず敷地の全体形状が制約になります。また、プラントと外部との取り合いの位置も考慮しなければなりません。例えば、図で言うと製品の出荷は左下のバースから行うとか、原料は南側の隣接するプラントから受け入れる、といった取り合い点です。これを、バッテリーリミットと呼びます。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/26/47/e0058447_08472350.png" alt="_e0058447_08472350.png" class="IMAGE_MID" height="216" width="500" /></center><br />
また風向きも考慮しなければいけません。図の右上にある「フレア」とは炎を発する装置のため、引火性を考慮し、その下流に置ける装置が限られます。さらに隣地境界との騒音レベルや、離隔距離など、各種の法規に従わなければなりません。そしてまた建設段階において、搬入すべき機器の大きさとその搬入経路についても考慮が必要です。<br />
<br />
<br />
このマクロな全体レイアウト図の、一つ一つの四角いブロック（一部は不整形ですが）を、通常「ユニット」と呼びます。<br />
<br />
<br />
レイアウト設計では、各ユニット内のミクロな視点での制約条件もあります。<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/26/47/e0058447_08480581.png" alt="_e0058447_08480581.png" class="IMAGE_MID" height="224" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
例えば個別のユニットのエリアの形状、ユニットの外部との取り合い位置などです。プラントの中は通常、パイプラックと呼ばれる、いわば配管専用の通路が用いられます。このパイプラックに沿って、外から原材料を受け入れたり、出来上がった中間物質を送り出したりします。外にも、高圧ケーブル等の引き込みの場所も考慮しなければなりません。風向きや、機器間の離隔距離にも、同様に制限があります。<br />
<br />
<br />
さらにオペレーターによるアクセス性や視認性が、操業上大事なポイントになります。加えて、メンテナンスのためのアクセスも必要です。例えば図の下側には熱交換器が並んでいますが、熱交換器は定期修理の際に、中のチューブバンドルを引き出して、洗浄する必要があります。このためチューブの引き抜きスペースを確保しておかなければなりません。他にも、顧客やライセンサーの設計上の規格等も、守る必要があります。<br />
<br />
<br />
では、そうした数々の制約条件を守って作成した、レイアウトの評価尺度にはどのようなものがあるでしょうか。表には、7つほど代表的なものを挙げています。操作性・保守性・安全性、これら3つは運転と保守のやりやすさを表しますから、操業費用を左右します。<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/26/47/e0058447_08485080.png" alt="_e0058447_08485080.png" class="IMAGE_MID" height="210" width="500" /></center><br />
拡張性も重要な要素です。頭の左下の④番は、将来拡張のためのスペースを確保したエリアです。<br />
<br />
<br />
そして配管の物量（すなわち配管長と内径の積ですね）、これもプラントの投資額の大きな部分を占めます。上手にレイアウトすると、配管物量をかなり削減することができます。それからパワーケーブルや、計装用ケーブルといったケーブル長。さらに全体の広さなどが評価尺度としてあげられます。<br />
<br />
<br />
最後の3つの尺度（配管物量・ケーブル長・敷地面積）は、比較的簡単に計算することができる定量尺度です。これに対して、最初に挙げた4つは、どうしても定性的な判断になります。<br />
<br />
<br />
以上のように、プロットプランの設計とは多目的最適化問題である、と考えられます。<br />
<br />
<br />
しかも、複数ある評価尺度の間には、あちらを立てればこちらが立たず、といったトレードオフがしばしば生じます。敷地面積を節約しようとして機器を詰め込めば、メンテナンスのためのスペースが取れなくなる。あるいは、配管物量を削減しようとして、太い配管同士で接続された機器を隣接させようとすると、逆にそれ以外の細かな機器が周辺に散らばってスペースが広がってしまう、などです。<br />
<br />
<br />
多目的最適化ですから、唯一無二の「全体最適」の解はありません。このような問題、本当にコンピューターで解けるのでしょうか？<br />
<br />
<br />
私たちはこの問題に、以下のようなアプローチで取り組むことにしました。<br />
<br />
<br />
まず、中核となる配置問題には、多目的最適化手法を用います。定量評価関数については、満足化トレードオフ法に従い、ユーザが希求点を設定し、パレート解(非劣解)を探索します。最適化エンジンは、遺伝子アルゴリズムGAを用いて実装します。<br />
<br />
<br />
配置問題を解くにあたっては、最初に、敷地内のメイン・パイプラックと、サブ・パイプラックのトポロジー形状を与えることにします。プラントでは、配管の通路となるパイプラックの相対的な位置が、重要だからです。その上で「機器グループ」を、ラックに沿って配置します。<br />
<br />
<br />
ちなみにプラント全体を、いわゆるユニットに分割するにあたっては、従来、プロセス・エンジニアが、関係の強い機器群をまとめてきました。しかし我々は、従来のユニットよりも、もう少しだけ細かな点「機器グループ」に分割することにしています。これはレイアウト設計における最適化性能を、より上げるための工夫です。機器グループへの分割においては、PFDと機器リストのデータから、グラフ・クラスタリングの計算によって行います。<br />
<br />
<br />
分割生成された、各機器グループの必要面積を計算するために、私たちは、熟練技術者の暗黙知をEppinger(2016)らのDSM = design structure matrix手法によって形式知化することにしました。実はこの作業だけで一年近くかかったのですが、ともあれ、機器リストから諸元データを与えれば、メンテナンススペースも含めた必要面積を導出するロジックを、ほぼ確立することができました。<br />
<br />
<br />
これらデータを、多目的最適化エンジンにインプットし、得られた複数の解は、3Dで表示します。プラント用の本格的な3D CADは、かなり重たい仕組みなので、計算結果の3Dモデル表現は、より軽量な3Dツールで実装しました。これを見ながら、ユーザ(技術者)が、定性評価を行います。そして、もし計算結果に不都合や不満な点があれば、例えば「この機器はこの場所に固定すべきだ」といったフィードバックを与えて、最適化エンジンを再度回すようにするのです。<br />
<br />
<br />
満足化トレードオフ法については、わたしよりもこの学会に集まった皆さんの方がよくご存知かと思います。<br />
<br />
<br />
中山弘隆らが開発したこの手法は、最初に、希求点を設定します。目的関数に対して、計画者が目標値と考える希求水準を定めるわけです。その上で、重み付最小化問題を解きます。この重みは、計画者が与えた希求点によって計算されます。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/26/47/e0058447_08495005.png" alt="_e0058447_08495005.png" class="IMAGE_MID" height="215" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
簡単に言うと、エンジニアは、最適化エンジンに対して、がんばって目指すべきゴール地点を最初に与えるわけです。コンピュータは、所与のパイプラックのトポロジー形状を守りながら、遺伝子アルゴリズムGAを回し、そのゴール地点に向かって次第に世代を重ねるごとに前進していきます。もちろん制約条件があるため、どこかに見えない壁があって、そこで前に進めなくなり、計算は打ち切ることになります。この見えない壁のつながった連続したカーブが、多目的最適化問題で言う「パレート境界」を形成するわけです。<br />
<br />
<br />
わたし達の作り上げた、『Auto Plot PAPTHFINDER』と名付けたレイアウト自動設計のシステム構成は、以下のようになっています：<br />
<br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/26/47/e0058447_08500807.png" alt="_e0058447_08500807.png" class="IMAGE_MID" height="81" width="500" /></center><br />
（この項つづく）<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜参考文献＞<br />
佐藤・山田・小糸・嘉山・荒川(2022): Auto Plot PATHFINDER - 多目的最適化エンジンを用いたプラント・レイアウトの自動設計, スケジューリング・シンポジウム2022講演論文集, pp.148-151<br />
<br />
<br />
＜本記事に引用した画像の権利はすべて日揮ホールディングス（株）に帰属します。無断転載・引用はご遠慮ください。Auto Plot PAPTHFINDERは日揮グローバル（株）の商標です＞<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>工場づくりに関する連載記事開始のお知らせ：月間「工場管理」8月号より</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/30026622/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/30026622/</id>
    <issued>2022-07-16T17:56:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2022-07-16T17:56:36+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[お知らせです。日刊工業新聞社の月刊誌「工場管理」8月号（7月20日発売予定）より、<br />
<br />
<br />
　『ゼロから始める新工場づくり』<br />
<br />
<br />
と題する連載を開始します。わたしの勤務先の同僚で、ネクストファクトリー・ソリューション部の部長である丸山幸伸氏との共著で、全18回の予定です。雑誌は電子書籍でも購入可能です。<br />
<br />
<br />
「工場管理」誌には、今年の3月・4月号にも、製造実行システム（MES）に関する記事を執筆しました。これは主に工場のデジタル化の側面について、自身の知見ならびに経産省からの受託調査の結果をもとにまとめたものです（こちらからもダウンロードできます）。幸いこの記事は好評だったようで、編集部から、より広い視野で工場づくりに関する連載記事を書いてくれないかと依頼を受けました。<br />
<br />
<br />
もちろん、よろこんでお引き受けすることにしましたが、わたし自身は何年も前から経営企画部門におり、工場プロジェクトの現場業務からしばらく遠ざかっています。そこでこの分野に経験の深い、同僚の丸山幸伸氏と一緒に、執筆に取り組むことにした次第です。<br />
<br />
<br />
ところで読者の皆さんが、ご自分の家を建てるとしたら、どこから考え始めますか。ちょっと想像してみてください。宝くじに当たって、大きな賞金を得たとしましょう。一生食べていけるほどではありませんが、家一軒を土地付きで建てるには、十分な金額だとします。せっかくですから、建売りではなく、自分の望む、ゆったりとしたオリジナルな家を考えてみたい。細かな設計は建築士に依頼するとしても、大きなプランは自分で決めたい、と思います。さて、皆さんなら、どこから考えますか。<br />
<br />
<br />
まず、台所から考えよう。レンジなど最新の厨房機器を揃えて、冷蔵庫のサイズは大きめ、そして流し台のレイアウトは・・などと思う方は、たぶん、かなり少ないんじゃないかと思います。もちろん、台所は生活の必需機能です。また、家の中で一番、設計的に込み入った場所です。さらに、自分は料理が趣味だ、という方もおられるでしょう。でも、たとえそんな方でも、新しい家の構想を、台所という部分から考え始めるでしょうか？<br />
<br />
<br />
いやいや、台所はどうでもいいが、自分だけの書斎が前からほしかったんだ、だから最新鋭のパソコンと大型ディスプレイを買って配置して、机はこうして、音声機器や無線LANは・・といった話を、当たりくじを前にして始めたら、ご家族はどう思われるでしょう？　それがたとえ寝室や風呂でも、同じことです。<br />
<br />
<br />
ふつうだったら、まず、家はどこに建てようか？　どれくらいの大きさが良いか、家族の人数からいって、何部屋くらいあれば十分か？　そんな風に考えるのではないでしょうか。<br />
<br />
<br />
つまり、何か新しいものや仕組みを構想する際は、まず全体像から入り、ついで個別の要素について検討するのが、当然の順序でしょう。最初に台所や書斎などの部分から、それも機器のスペックや構成を真っ先に検討してから、その入れ物としての建物を考える、というのは、なんだか奇妙に感じられます。<br />
<br />
<br />
ところが、この不思議なことが、工場づくりに際しては、しばしば見受けられるのです。<br />
<br />
<br />
何年か前に、ある独立コンサルタントの方にインタビューしました。電機系の一流企業の、生産技術畑出身の方です。工場設計の手順についておたずねしたところ、まず製造のための加工機を何台、ラインに配置するか、その性能とスペックをどうするか、で話が始まりました。あとは適当にスペースをとって、それを収容できる建屋をつくれば良い、と。<br />
<br />
<br />
でも、モノはどこに置いてどう搬送するのです？　エネルギーや用役の供給の最適化は？　ICTのための通信とデータは？　そして働く人にとって最も重要な、執務空間の快適さをつくりだす建築のあり方は？　・・でもこの方にとって、工場の中核機能は製造であって、その他のことは付随的な問題にすぎない、という感覚でした。<br />
<br />
<br />
ちなみに、日本の多くの企業では、なぜか「機械設備は生産技術部門、建屋は総務部門の所掌」となっています（この方の所属していた会社もそうだったようです）。そんな企業で新工場づくりに取り組むとき、典型的に起きるのは、三つの流れが並行して進む形態です。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202207/16/47/e0058447_17495752.png" alt="_e0058447_17495752.png" class="IMAGE_MID" height="314" width="500" /></center><br />
図をご覧ください。真ん中にあるのは、主要な製造機械に関する設計の流れです。生産技術部門が基本設計し、機械メーカーを選定して詳細設計を進め、さらに補助製造設備等を選びます。それと並行して、左には建築系の設計の流れがあります。総務部門が、設計事務所をつかって、基本レイアウトを決めます（といってもおさめる機器はまだ決まっていないのですから、体育館のようなスペースがあるだけの建屋です）。ついで実施設計はゼネコンに任せます。他方、右側にあるのは、物流設備の設計の流れで、ここは生産技術部門が物流（マテハン）メーカーの支援を得て、すすめるのが通例でしょう。<br />
<br />
<br />
そして、これで全体がフィットすればOKです。しかし、まま起きがちなのは、レイアウトにおさまらなくて再調整、です。つまり三つの流れが元に戻って、やりなおしとなる訳です。これを避けたければ、機械 – 建築 – 設備の間の取り合いに、余裕を見ておくしかありません。つまり、余計なコストです。<br />
<br />
<br />
とくに建築と機械の設計が別々に動く訳ですから、拡張性やレイアウト変更が容易でない空間構造になりがちです。日本は敷地が狭いため、多層階の工場がふつうです。そのため、しばしば動線が縦に分断されます。<br />
<br />
<br />
よく言うのですが、もし家の台所が、1階に流し台と冷蔵庫、2階にガスレンジやオーブン、という風に分かれていたら、どんなに不便か想像がつくと思います。ところが、工場ではそんな縦割りの物流動線とレイアウトをよく見かけますし、働いている人達は不便とも思っていなかったりします。なぜなら、最初からそういうものだと思って、働いているからです。<br />
<br />
<br />
このように、バラバラにすすめられる物流動線とレイアウト設計は、結果として、見えない非効率の温床になりがちです。それは、最初に主要素（製造機械）を設計してから、全体のシステム（レイアウトや物流）を考えるという、順序の問題から生まれるのです。<br />
<br />
<br />
全体を考えてから要素に落とし込む、という思考の順序は、『システムズ・アプローチ』の中心にあたります。わたし達エンジニアリング会社は、少しカッコつけて申し上げると（笑）、工場づくりのシステムズ_エンジニアリングと、プロジェクト・マネジメントを専門にしている業種です。ですから、この18回の連載の中で、よりベターな結果を得られる工場づくりのプロセスについて、一緒に考えていきたいと思っています。<br />
<br />
<br />
なお、「工場づくりと言っても、自分の会社は新工場の企画なんてないし、自分がその責任者になる可能性もないから、関係ないや」と感じられる読者も多いかと思います。ただ、そういう方も、今ある工場のハード・ソフト・運用については、いろいろ改善課題を意識されているのではないでしょうか。<br />
<br />
<br />
ちょうど、自分の新しい家をゼロから空想してみると、今の住まいの改善点が見えてくるように、新しい工場を構想してみるのも、システム的な思考の訓練として、有用であろうと信じます。この連載記事が、より多くの読者の方の眼に触れるようでしたらまことに幸いです。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
佐藤知一@日揮ホールディングス（株）<br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>キャパシティか、スループットか　〜　生産能力を理解する</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/29556288/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/29556288/</id>
    <issued>2021-06-12T14:03:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2021-06-12T14:03:24+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[生産マネジメントに関連して、混乱しがちなもう一組の用語について考えよう。それは生産量（生産能力）を表す言葉だ。 <br />
<br />
<br />
『キャパシティ』とは何か。それは、ある機械設備なり、一連の工程なり、あるいは工場全体の生産能力を表す、設計上の値である（そしてたぶん、この言葉の用法については、あまりブレがない）。 <br />
<br />
<br />
たとえば、前回の記事と同じく、パン焼き窯を題材にしてみよう。窯には30個までのパンの材料を置くスペースがあり、焼き上げるまでに必要な時間は2時間だ。ということは、平均すると、（パンを窯に出し入れする時間を無視すれば）1時間あたり15個、ないし1分あたり0.25個、という「キャパシティを持っている」といえる。 <br />
<br />
<br />
もちろん、パンが出来上がるタイミングは断続的で、2時間に1回だ（こういう生産方式を『バッチ』型と呼ぶ）。毎分、1/4個ずつ、にょろにょろパンが生まれでてくる訳ではない。だからキャパシティとは、ある時間幅における「平均値」を示している。 <br />
<br />
<br />
店のパン焼き工場（こうば）が、1日8時間勤務の体制ならば、1日あたり120個を生産できるキャパシティをもっている。もしも3交代制・24時間勤務なら（そんなパン屋があるかどうかは別として）、1日あたり360個のキャパシティである。店が週休二日で、1月4週間で換算すれば、月産7,200個のキャパシティになる。 <br />
<br />
<br />
お分かりの通り、日単位以上でキャパシティを考える際には、「稼働時間」の項目が入ってくる。だが、時間平均であること、稼働時間の設定が入ることさえ忘れなければ、キャパシティは、その機械設備の最大限の生産能力を意味する訳である。あるいは、ピーク時の生産可能数、といってもいい。 <br />
<br />
<br />
ただし、先ほど、釜にパンの材料を入れたり、焼き上がったパンを出したりする時間は無視すると書いたが、実際には、セットするのに10分取り出すのに5分、平均するとかかる。つまり全体としては、1つのロットから、次のロットまで、2時間15分かかることになる。一分あたりに直すと0.22個（＝1時間あたり13.3個）になる。つまり、毎分0.25個という先程の数字から比べると、約11%の生産能力ダウンであると考えることができる。 <br />
<br />
<br />
パンを焼く2時間という実稼働時間に対して、材料を準備したり取り出したりする、付帯作業の時間を、段取り時間と呼ぶ（英語では、set-up timeという）。より詳しくいうと、パン材料を入れる作業を「前段取り」、焼き上がったパンを取り出す作業を「後段取り」と区別する。付帯作業としての段取りは必須なので、製造ラインのキャパシティーを考える際は、段取り時間を考慮に入れなければならない（釜や炉の場合は、余熱やクールダウン時間の考慮も、本当は必要だ）。 <br />
<br />
<br />
さて、前後の段取り時間を考えると、30個のパンを焼くのに2時間15分かかる。もし1日の稼働時間を8時間とするならば、実際には、4回焼くのは難しく、3回しかパンを焼けないことになる。パンという商品の性質上、夕方途中まで焼いて、次の朝、続きを焼くようなことはできない。つまり1日の生産量は30 x 3 = 90個である。単純な実稼働時間から計算した、最大生産能力に比べて、店の生産キャパシティは25%もダウンする。 <br />
<br />
<br />
そして、窯が動いている時間は2時間15分×3＝6時間45分だから、一日のうち1時間15分は、窯は使われずに遊んでいることになる（なお、話を単純にするため、ここでは昼休み時間は無視している）。 <br />
<br />
<br />
ところで、店では手作りパンを売っている。つまり、小麦粉をねってイーストのパン種を仕込み、様々な形にしたり具を入れたり、といった作業もしている。食パンもあれば、菓子パンも作る。これはほぼ、手作業だ。 <br />
<br />
<br />
食パンは形が比較的単純なので、それだけに集中すれば、1個を3分、1時間に20個分の、「あとは焼くだけ」状態になったパン材料を、準備できる。ただし食パンは大きくて場所ふさぎなので、1個が普通のパンの3倍の場所を取る（パン焼窯には10個しか並べられない）。普通のパンに換算すると、60個分が準備できるわけだ。30分あれば、パン焼き釜1回分の材料が作れる。 <br />
<br />
<br />
だが、後工程であるパン焼窯のキャパシティは、段取り時間を考慮すると、1時間あたり食パン10/2.25 = 4.4個しかない。ということは、食パンだけを作るとしたら、あなたの店は全体として、やはり毎時4.4個の生産キャパシティになる。パン焼き窯の能力が、全体のボトルネックになっているのだ。1日8時間営業の場合、釜は3回しか使えないから、1日で30個。普通のパンに換算すると、1日90個分となる。 <br />
<br />
<br />
ちなみに、菓子パンの類は、具を入れて形を作り、焼く前の姿にするまでに、もっと手間がかかる。だいたい、1個に平均5分はかかる。1時間に12個だ。こうなると、パン焼き窯よりも遅いことになる。もしも菓子パンだけで考えるなら、店は全体として、毎時12個の生産キャパシティという計算だ。キャパシティ上のボトルネックは、作る製品によって、場所が変わる可能性があるのである。 <br />
<br />
<br />
パン焼き釜の容量30個分の菓子パン材料をつくるには、2時間半かかる。1日8時間営業では、やはり3回しかパンを焼けないはずだ。だから、もしも菓子パンだけを作るなら、やはり1日90個が、生産キャパシティになりそうだ。 <br />
<br />
<br />
ところで、よく考えてみてほしい。朝9時に、営業が始まるとしよう。パン職人は9時から、まず菓子パンの材料づくりをはじめる。30個分を作るのに、2時間半。それからパン焼き窯にセットする。つまり、パン焼き釜が動き始めるのは、11:30だ。かりに職人がすぐさま、次のバッチの菓子パン材料を作り始めても、準備完了するのは、その2時間半後の14:00。焼き上がるのは、16:15。店の営業時間は夕方5時までだから、あと45分しか残っておらず、もうパンは焼けない。 <br />
<br />
<br />
つまり、菓子パンだけを作る場合、パン焼き釜は1日に2回しか動かず、生産量は60個にとどまる、ということだ。材料作りの工程や、パン焼き工程が、それぞれ持っている生産能力よりも、全体での生産能力は明らかに、小さい。 <br />
<br />
<br />
　材料作りの工程の生産能力：1時間12個、→8時間で 96個 <br />
　パン焼き釜の生産能力：　　1時間13.3個→8時間で 90個 <br />
　パン屋全体の生産能力：　　　　　　　　→8時間で 60個 <br />
<br />
<br />
なぜこうなるかというと、それは生産スケジュールの制約（とくに稼働時間と段取り時間の制約）のためなのだ。つまり、工場全体の生産能力は、生産計画に依存する、ということになる。 <br />
<br />
<br />
そして、生産計画は、需要の変化に応じて、どんどんと変わっていく。店にしても、食パンだけ、菓子パンだけを作る訳にはいかないだろう。プロダクト・ミックス（製品の構成比率）は、動的に変わりうるのだ。 <br />
<br />
<br />
ちなみに、次のようなタイム・テーブルで、食パンと菓子パンを作れば、食パン1回、菓子パン2回分を焼くことができる。菓子パン換算で1日90個の生産量を確保できる。菓子パンの方が利益率が高いから、ちゃんと需要とマッチするなら、こちらの方がパン屋としては好ましいだろう。 <br />
<br />
<br />
　材料作りの工程：　　　　　　　パン焼き工程<br />
　 9:00 - 9:30　食パン　　　 9:30 -11:45　食パン<br />
　 9:30 -12:00　菓子パン　　12:00 -14:15　菓子パン<br />
　12:00 -14:30　菓子パン　　14:30 -16:45　菓子パン <br />
<br />
<br />
<br />
実際のプロダクト・ミックスと、生産スケジューリングにしたがって、生産量は変わりうる。このような、現実の生産量のことを、スループットと呼ぶ。キャパシティは設計上の最大能力のことを指すのに対し、スループットは実際の結果を示す値である。このことをあえて強調するため、『実効スループット』とよぶこともある。 <br />
<br />
<br />
（なお、ここで言うスループットとは、TOC理論の「スループット会計」でいうスループットとは別の概念である点に注意されたい） <br />
<br />
<br />
ちなみに、スループットとは現実の値であるから、どこかの工程が遅れたり、材料が足りなくなったり、設備が故障したり、といった予期せぬ変動や、仕掛品の滞留なども、すべて含んだ数字になる。 <br />
<br />
<br />
多品種を作る工場においては、各設備・工程毎の生産キャパシティを設計することができる。ところが、工場全体のキャパシティとなると、プロダクト・ミックスを仮定し、生産スケジューリングを考えないと、推算することができない。生産システムの設計では、ここがポイントになる。 <br />
<br />
<br />
工場づくりの仕事をしていると、しばしば最新鋭の高速の製造機械を導入したい、と考える顧客にぶつかる。それはそれで結構だ。技術的にもチャレンジングで、面白い。だが、本当にその工場にとって、定まった品種の製品を高速大量に作るニーズが大きいのか。じつは、製品ラインナップは多品種化が進み、生産量も変動が大きいのではないか。 <br />
<br />
<br />
高速の製造機械は、セットアップの段取り時間もそれなりにかかることが多い。それならば、高速の機械1台を買うよりも、中速の機械2台を入れて、上手に品種切り換えをスケジューリングしながら作る方が、賢いのではないか。たとえていうなら、町中をちょこちょこ走って荷物を届けるのには、高速なスポーツカー1台より、小型のセダン2台の方が効率的ではないのか。 <br />
<br />
<br />
技術者はつい、単体のキャパシティを追求したがる。だが、本当に必要なのは、総合的なスループットなのだ。 <br />
<br />
<br />
そして稼働後は、実効スループットをきちんとモニタリングして、設計時とどこがずれているのかをチェックする必要がある。その違いは、プロダクト・ミックスすなわち需要の違いによるものなのか、それとも生産スケジューリングの制約から来ているのか、それとも計画では予期しなかったトラブルによるものか。そうした分析がなければ、工場全体の生産量の、真に適切な改善はできない。<br />
<br />
<br />
もちろん、各工程設備や作業の、個別の改善は可能だろう。そして、そうした努力は続けるべきだ。ただ、改善すべき優先順位は、生産活動全体を仕組み（システム）としてとらえ、データに基づいて分析しなければ、判断できないのである。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞ <br />
　「ライン、ショップ、セル　〜　生産方式を理解する」  (2021-05-15) <br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ライン、ショップ、セル　〜　生産方式を理解する</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/29523234/" />
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    <issued>2021-05-15T14:32:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2021-05-15T13:50:34+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[社内の勉強会で、若手のエンジニアに対し、「スマート工場とは何か」をテーマに話をしている。といっても、スマート工場に関する共通定義が、世の中に明確にある訳ではない。だから、既存の工場にロボットやAGVを1,2台導入して、ちょっぴり作業を自動化したり、タブレット端末やセンサーを数カ所につけて情報化したりしたら、誰でも「ウチはスマート工場です」と言えてしまう。ある意味で便利な(?)社会である。 <br />
<br />
<br />
<br />
もちろん、AGV（Automated guided vehicle=自走台車・無人搬送車）を導入してちゃんと動かしたり、センサーで意味あるデータを取得したりする取り組み自体は、意味あることだ。そのこと自体を否定するつもりは、まったくない。また、そうした取り組みは、けっして、端の人間が見るほど簡単ではない。 <br />
<br />
<br />
どうしてかというと、工場はそれなりに多数の設備と業務が組み合わさって、できあがっているからだ。そこに新しい設備や仕組みが、急に割り込んできて、それが場所や電源供給や通信を必要とし、勝手な自分のタイミングで動くのだ。かつ、こうしたスマートでデジタルな新参者たちは、妙に「石頭」なので（＝ふるまいを変えるためにはプログラムを変更しなければならない）、周囲とどうしても軋轢を生みやすい。 <br />
<br />
<br />
そうした苦労を経て、ようやく一部の工程をスピードアップし、一部の設備の稼働率をあげたとしよう。担当者はデータやグラフを示して、その有用性をアピールするだろう。当然のことだ。だが、ではそのスマート化は、工場全体のパフォーマンスにどうつながるのか？　このところ頻発している納期遅れや、品質トラブル、はたまた人員不足問題を、どう改善したのか。 <br />
<br />
<br />
実は、よく分からない、というのが、多くのケースでの本音だろう。そんなこと大声で言えないから、誰も口にはしない。とにかくプラスにはなっていると思う。なっているはずだ。そうは信じている。だが、数字で示すのは難しい。 <br />
<br />
<br />
理由の一つは、そもそも工場全体のパフォーマンスを示すKPI、たとえば納期遵守率が、定常的に集計されていないからだ。そんなの簡単だ、注文書の納期通りに納めたかをチェックすればいいじゃないか、と思う人もいるだろう。だが受注後に急に仕様や数量の変更要求があり、工場と相談なしに営業が元の納期通りで受けてしまったら、それはどうカウントするのか？　顧客が示した月次の内示と実需の合計が、大幅に違ったら、どうするのか？ <br />
<br />
<br />
だが、もっと根本的な理由がある。それは、工場が生産のための仕組み＝システムである、ということだ。システムというのは、その一部が変わったからと言って、全体のパフォーマンスが比例して良くなるとは限らない。 <br />
<br />
<br />
かりに自動車で、エンジンだけを、大きな排気量のものに取り替えたら、クルマのスピードや運転性能が歴然と上がるだろうか？　当たり前だが、ミッション系からタイヤ・足回り・ブレーキ系・電装系まで、すべて足並みを揃えて変えていかなければ、全体の運転性能は上がらないのだ。それがシステムというものの性質だ。システムの性能は、要素の性能の単純な足し算ではない。 <br />
<br />
<br />
なので、工場のパフォーマンスを上げたかったら、工場というシステムの仕組みを知らなければならない。良い工場を設計したかったら、工場という『生産のためのシステム』の成り立ちを、まず理解する必要がある。 <br />
<br />
<br />
エンジニアという人種は、新しくてカッコいい技術の話が大好きだ。それに比べて、生産システムみたいな基礎的な話は、地味で、どう役に立つのか、分かりにくい。だから、こういう種類の話は、書籍にも雑誌記事にもなりにくい。ネットの情報も限られている。なので社内の勉強会が必要なのだが。 <br />
<br />
<br />
という訳で、スマート工場を作りたかったら、まず工場の仕組みと成り立ちを理解しなければならない。そのためには、対象とする工場について、 <br />
<br />
<br />
(1) 品種数と生産数量 <br />
(2) 生産形態 <br />
(3) 生産方式 <br />
(4) サプライチェーンの中での位置 <br />
<br />
<br />
を知ることが、真っ先に必要な仕事だ。これをおさえなければ、始まらない。 <br />
<br />
<br />
また、上記の4項目が同じだったら、その工場が何を作っていようが、実はオペレーション・マネジメント上の課題は、共通していると思っていい。極端に言えば、電車の部品を作っていようが、特殊な機能性素材を作っていようが、はたまたお洒落なクッキーを作っていようが、上記の4条件が同等なら（ま、思いつきであげたこの3品目が同等になることは滅多になさそうだが）、同じ知恵が使えるだろう、ということだ。 <br />
<br />
<br />
これは、個別の製品設計や製造技術に関わっているエンジニア達には、意外だろうと思う。また、企業を「業種・業界」で分類したがる、メディアや役所や経済団体の人達にも、意外だろう。複数の異なる業種の工場・プラントづくりに関わってきた、エンジニアリング会社の人間だからこそ、ピンとくる話なのかも知れない。 <br />
<br />
<br />
上記の内、(1)品種数と生産数量については、横軸に品種数（P: Product)をとり、縦軸に生産数量（Q: Quantity）をとってプロットする「P-Q分析」が、よく用いられる。品種数Pが少なく生産数量Qが大きいものは、「少品種大量生産」で、図では左上に位置する。逆に、品種数Pが多く、生産数量Qが小さい場合は、「多品種少量生産」になる。図では右下に来る。 <br />
<br />
<br />
次の(2)生産形態については、すでに当サイトでも何度か解説したことがあるので、ここではスキップしよう。 <br />
<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/202105/15/47/e0058447_13244374.jpg" alt="_e0058447_13244374.jpg" class="IMAGE_MID" height="352" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
(3)の生産方式は、大きくいうと、化学プラントなどの流体を扱うプロセス系と、組立加工系で固体を扱う「ディスクリート系」に分かれる。日本では自動車産業や電気産業などの裾野が大きく、後者に属する工場が大半だ。そして、ディスクリート系工場における生産方式は、さらに、以下の4種類に大きく区分することができる。 <br />
<br />
<br />
1. フローライン<br />
<br />
<br />
　コンベヤで連続的にワーク（加工対象）が流れる方式。いわゆる「フォード・システム」が源流である。作業者は細分化された作業を受け持つ。大量生産向きといえる。 <br />
<br />
<br />
2. フローショップ<br />
<br />
<br />
　上記に似ているが、コンベヤでワークが自動的に流れていくのではなく、複数の工程が別々に並び、その間をワークを順に（ただし非同期的に）流していく方式。 <br />
<br />
<br />
3. ジョブショップ<br />
<br />
<br />
　複数の工程（作業区）間を、ワークが行きつ戻りつ動く方式。作業者は複数台の機械を受け持つことも多い。工順が個別に変わるような、多品種少量生産向きである。 <br />
<br />
<br />
4. セル生産<br />
<br />
<br />
　一人の作業者が「セル」内で、複数の工程を受け持つ。そして工場内には複数のセルが並んでいて、同等の機能を果たす。この用語は90年代に、ソニーから始まったと聞いている。 <br />
<br />
<br />
ちなみに、セル生産方式と、従来のフローショップやジョブショップの違いを説明しておこう。後者では、作業者が特定の工程に専任しており、単能工的になる。技能蓄積にはいいが、負荷変動が大きいと、人が余ったり足りなくなったりしがちである。セル生産は基本的に多能工的な方式のため、負荷変動に応じて、セルの数自体を増減すればすむ。また、モノの搬送も比較的少なく済むメリットがある。 <br />
<br />
<br />
この4種類の生産方式は、当然ながら工場の物理的なレイアウト設計の基本になる。ただ、どこに在庫ポイントをもつかによって、同じ生産方式でもレイアウトは異なってくる。そして在庫ポイントの設定は、(2)生産形態によって定まるから、結局、その両者を適切に選んで組み合わせないと、良い工場にはならない事が分かる。そして生産形態は、さらに(4)サプライチェーン上の位置づけ、に大きくしばられる事になる。 <br />
<br />
<br />
という訳で、こうした工場のマクロな特性を最初に理解することが肝心なのだ。 <br />
<br />
<br />
・・という話をしていたら、若手から、「そういうことを、もっとちゃんと勉強したいのですが、何かおすすめの本はありますか？」と質問された。 <br />
<br />
<br />
うーん、それがねえ。良い本がないんだよねえ。「モノづくり大国ニッポン」のはずなのに、こういう原理原則を体系的に述べた、教科書的な本がないんだ。そういう技術的・専門書的な本を出しても売れません、と出版社の人は言う。売れないから出ないのか、出ないから売れないのか、本当のところは分からないけどねえ。 <br />
<br />
<br />
いいたかないけど、米国ではねえ、生産マネジメント研究と教育に特化した工科系大学が複数あるし、APICSのような民間ベースの技術者団体があって、資格制度と研修カリキュラムを整備しているので、参考書はいろいろあるんだよ。 <br />
<br />
<br />
でも、日本ではねえ、無いんだよねえ。大学の先生も作ってくれないし。そもそも、大学の先生って、学会誌に論文を何本書くかで、文科省から能力を測られるからねえ、基礎的な本を書いても業績にならないんだ・・ <br />
<br />
<br />
「じゃあ、どうしたらいいですか？」 <br />
<br />
<br />
うーん、そうだねえ。せめて、僕の個人的なサイトがあるから、それを見て自分で考えてもらうしかないだろうねえ（苦笑）。 <br />
<br />
<br />
・・という、オチでした。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞ <br />
　→「自社の生産形態をデザインする」  (2019-02-24) <br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>お知らせ：工場設計に関するオンライン・セミナー2件に登壇します（4月15日・4月23日）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/29469266/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/29469266/</id>
    <issued>2021-04-01T23:36:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2021-04-01T23:20:07+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[ここでお知らせです。 <br />
<br />
<br />
日揮株式会社は、この4月から、新しく「ネクストファクトリーソリューション部」を設置し、製造業のお客様に向けた、スマート工場づくりのビジネスに、本格的に力を注いでいくことになりました。わたしも、この新しい部門のアドバイザーとして、微力ながら日本の製造業の課題解決をお手伝いして参ります。 <br />
<br />
<br />
弊社はこれまで得意分野として、石油・化学・医薬品などのプラントを数多く手がけてきました。我々の新しい部門は、それをさらに拡げて、化粧品・食品をはじめ、組立加工系の業種や物流施設などにも、これまでにつちかったエンジニアリング技術を応用し、スマート＆インテグラルな工場づくりに取り組みます。 <br />
<br />
<br />
石油プラントや医薬品工場などは以前から、多数のセンサーと自動制御システムを配備し、MESも活用してきました。「スマート化」の点では、他の分野に比べて一日の長があると言えます。そして、そもそもマスタープランの構想段階から、工場全体を一種の「システム」として捉え、設計していくことが普通です。これは、建物を建てて中に機械を並べ、あとから個別に自動化やスマート化を検討するのとは、かなり異なるアプローチであることが、お分かりいただけると思います。 <br />
<br />
<br />
今回は、そのような観点から、工場全体の最適レイアウトを自動設計する新しい手法について（4月15日）と、MESの存在を前提としたスマート工場のエンジニアリングについて（4月23日）、それぞれ無料のウェビナーでお話しします。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
1. 【プロットプラン自動設計システム「Auto Plot PATHFINDER」】（4月15日 18:00〜） <br />
<br />
<br />
工場・プラントの全体レイアウト設計（プラントの場合はプロット・プラン=Plot Planと呼びます）は、考慮すべき項目の多い、難しい仕事で、ふつうはかなりのベテランが取り組みます。プラントの製造工程を構成する機械・装置群を、ムダなく配置し、モノの流れや人の動線が短く、合理的となることを目指す訳です。しかし実際には、流れと流れが干渉したり、敷地に詰め込みすぎると、機械のメンテに支障をきたすといったトレードオフ問題が発生します。 <br />
<br />
<br />
この問題に対し、わたし達は、多目的最適化の一種である「満足化トレードオフ法」を適用することで、解決を図っています。そして、最適なプロットプランを設計する新しいシステム「Auto Plot PATHFINDER」を開発しました。昨年秋にも、ウェビナーでその内容をご紹介しましたが、今回のセミナーでは、最新の成果も入れて、あらためてご報告します。 <br />
<br />
<br />
なお、本ウェビナーは、海外のお客様を意識して、Q&amp;Aを含めて、すべて英語で行います。あらかじめご了承下さい。 <br />
<br />
<br />
日時：2021年3月15日　18:00 - 19:00 PM <br />
（事前登録制、参加無料です） <br />
<br />
<br />
講演者：崎山弘道（日揮グローバル）、佐藤知一（日揮ホールディングス） <br />
ゲスト：香川大学教授　荒川雅夫氏 <br />
<br />
<br />
ウェビナー登録サイト <br />
https://zoom.us/webinar/register/WN_KutYoy94Q32YimiQS25utg<br />
<br />
LinkedIn ウェビナー案内 <br />
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:6780705126140252160/<br />
<br />
<br />
<br />
なお、内容の概略については、以下の短い動画でのご覧になることができます。 <br />
<br />
<br />
YouTube <br />
https://www.youtube.com/watch?v=O_nMt49GIMU<br />
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工場・プラントのレイアウト問題にご興味のある方の、ご参加をお待ちしております。 <br />
<br />
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2.  【ダッソー・システムズ　オンラインセミナー】（4月23日 13:00～） <br />
 「今製造業がスマートマニュファクチャリングを目指すべき理由」 <br />
　　　～10年後も持続する製造現場のあるべき姿～ <br />
<br />
<br />
こちらは世界有数のMESベンダーでもあるダッソー・システムズさんとの協賛セミナーです。ダッソーさんからは、スマートマニュファクチャリングを実現する生産工程、製造管理、生産計画を最適化するソリューションを、事例と共にご紹介いただきます。 <br />
<br />
<br />
わたし自身は、特別講演として、日揮の考える「次世代のスマート工場」と、MESの存在を前提とした工場のエンジニアリングのあり方について、お話しいたします。 <br />
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<br />
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<br />
■プログラム（抜粋）<br />
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　勝ち残るための10年後に向かうスマート・マニュファクチャリング構想 <br />
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　　ダッソー・システムズ株式会社　DELMIAブランド・ディレクター　　藤井 宏樹 氏 <br />
　　アイティメディア株式会社　　　MONOist編集長　　三島 一孝 氏 <br />
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特別講演｜　システムとしての工場をつくる <br />
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　　日揮ホールディングス株式会社　チーフ・エンジニア（Business Analyst）　佐藤 知一 <br />
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　デジタル・マニュファクチャリング　納期短縮・工程の効率化を実現する生産検討プロセス <br />
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　　ダッソー・システムズ株式会社　DELMIAインダストリー・プロセス・コンサルタント　　萩原 あづみ 氏 <br />
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　未来型製造徹底討論　これからの持続可能な製造に向けて今できること <br />
　～識者が皆様のご質問に答えます～ <br />
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　　ダッソー・システムズ　藤井宏樹 氏、MONOist編集長　三島一孝 氏、日揮HD　佐藤 知一<br />
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≪詳細・視聴登録はこちらから≫ <br />
https://re.itmedia.jp/ncRsaOwI <br />
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■開催概要　[提供：ダッソー・システムズ株式会社] <br />
<br />
<br />
・配信期間：　2021年4月23日（金） 13:00～16:30（接続開始 12:45～） <br />
・参加費　：　無料 <br />
・主　催　：　アイティメディア株式会社 MONOist編集部 <br />
・協　賛　：　ダッソー・システムズ DELMIAブランド <br />
・対象者　：　製造業の経営企画部門、製造管理部門、工場長、 <br />
　　　　　　　SCM・ロジスティクス部門、生産技術部門長、生産技術部門、 <br />
　　　　　　　情報システム部門など <br />
<br />
<br />
※ 協賛社の競合企業にお勤めの方、個人の方のお申し込みはお断りすることがございます。 <br />
※ 申込多数の場合、対象の方を優先させていただく場合がございます。 <br />
<br />
<br />
≪詳細・視聴登録はこちら≫ <br />
https://re.itmedia.jp/ncRsaOxG <br />
<br />
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<br />
以上、大勢の皆様のご参加をお待ちしております。 <br />
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日揮ホールディングス（株）　 <br />
チーフ・エンジニア（Business Analyst）　佐藤 知一 <br />
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]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>お知らせ：プラントのレイアウト（Plot Plan）最適設計手法に関するウェビナーを開催します（11月13日11:00〜）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/29248311/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/29248311/</id>
    <issued>2020-11-05T00:12:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2020-11-05T00:12:48+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[えー、続き物の記事の途中ですが、ここでまたスポンサーからお知らせです（笑） <br />
<br />
<br />
以前の記事で、設計行為には4つのレベルがある、と書きました。 <br />
1.　選択問題（選択的決定）：設計の選択肢からどれかを選ぶ（いわゆるカタログ・エンジニア） <br />
2.　求解問題（演繹的決定）：科学技術計算で、主要な設計変数を逐次導出する <br />
3.　最適問題（最適化決定）：評価関数を最大化する設計変数の組を探索する <br />
4.　システム合成問題　　　：多軸的な評価関数をバランスよく満たすような構造と機構を合成する <br />
<br />
<br />
この順で、設計は難しくなります。と同時に腕の見せ所でもあり、エンジニアにとって、やりがいが大きくなる訳です。とくに4番目のシステム合成問題は、複数の評価関数をバランスよく満たす必要があり、多目的最適化の考え方が必要になります。 <br />
<br />
<br />
その典型が、工場・プラントの3次元レイアウト設計問題でしょう。工場の全体レイアウト（プラントの場合はプロットプラン=Plot Planと呼びます）を決める仕事は、考慮すべき項目の多い、難しい仕事であり、ふつうはかなりのベテランが取り組みます。 <br />
<br />
<br />
基本的には、工場やプラントの製造工程を構成する機械・装置群を、ムダなく配置し、かつ、モノの流れや人の動線が短く、合理的となるよう設計すれば良いのです。ただし実際には、ある流れを優先すると、別の流れの邪魔をしたり、敷地効率を追求して詰め込みすぎると、機械のメンテに支障をきたしたり、といった問題が発生します。つまり、「あちらを立てればこちらが立たず」＝『トレードオフ現象』が生じるのです。 <br />
<br />
<br />
このような複雑なレイアウト設計問題に対し、コンピュータの力を借りて、最適化問題としてアプローチしようという考えは、以前からありました。しかし、ちょっと調べれば分かりますが、「計算爆発」「次元の呪い」「NP完全問題」など、恐ろしそうな言葉が並ぶ分野です。最適化どころか、実行可能解を一つ求めるだけでも大変という世界でした。 <br />
<br />
<br />
さらに、評価関数が複数あるので、それらの線形荷重和を最小化する、というアプローチが多くとられてきました。でも、それは結局、多目的なモデルの評価を、単一目的の最適化で解いている訳ですから、問題の全体構造を俯瞰して、トレードオフを考たりするのは難しいのです。しかも、配置問題においては、定量化できる評価軸ばかりとは限りません。むしろ、定性的な評価項目も結構多く存在します。 <br />
<br />
<br />
という訳で、やはりレイアウト設計はベテランの経験と勘に頼る、という時代が長く続いてきました。そして人手でやる仕事ですから、案は一つか、せいぜい少し変えた2案を比較する程度が限界でした。 <br />
<br />
<br />
この限界を打ち破りたい、と考えたわたし達は、あらためて問題を根本から考え直してみました。最適化問題は、モデリングが命です。対象の系を、どのような要素に分解するか。それをどう組合せるか。そして制約条件をも、目的関数化できるか。これがポイントです。そして、トレードオフ状況の中で、ユーザが対話的に、もっとも満足できるバランスを探すような仕組みを作りたいと、技術開発を続けてきました。 <br />
<br />
<br />
今回、ようやく、その成果を公開できる段階に達しましたので、一緒に開発してきた同僚・仲間と、ウェビナーを開催することになりました。題して、 <br />
<br />
<br />
【プロットプラン自動設計システム「Auto Plot PATHFINDER」】 <br />
〜　プロットプランを最適設計する新しい方法　〜 <br />
<br />
<br />
このセミナーでは、良いプロットプランの条件とは何なのかについて考え、日揮が開発した、最適なプロットプランを設計する新しいシステム「Auto Plot PATHFINDER」について、ご紹介します。またゲストとして、当分野の権威である香川大学教授 荒川雅生氏から「多目的最適化の最新の技法」についての解説もいただきます。<br />
<br />
<br />
日時：2020年11月13日　11:00 - 12:00 AM <br />
（事前登録制、参加無料です） <br />
<br />
<br />
講演者：崎山弘道（日揮グローバル）、佐藤知一（日揮ホールディングス） <br />
ゲスト：香川大学教授　荒川雅夫氏 <br />
<br />
<br />
ウェビナー登録サイト <br />
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6X-Duk35QmioSt98HMp0Ig<br />
<br />
LinkedIn ウェビナー案内<br />
https://www.linkedin.com/posts/jgc_efvegfegkehi-ltihda-it-activity-6725226186445869056-1qE_ <br />
<br />
<br />
<br />
なお、内容の概略については、以下の短い動画でのご覧になることができます。 <br />
YouTube : <br />
https://youtu.be/SHT_mVu889Y<br />
<br />
LinkedIn :<br />
https://www.linkedin.com/posts/jgc_it-iot-itgrandplan-activity-6728908428519067648-_pam<br />
<br />
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<br />
工場・プラントのレイアウト問題に対する、次世代の新しい設計手法にご興味のある皆様の、幅広いご参加をお待ちしております。 <br />
<br />
<br />
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<br />
日揮ホールディングス（株）　 <br />
チーフ・エンジニア（Business Analyst）　佐藤 知一 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞ <br />
　  (2020-05-07) <br />
　 (2020-05-15) <br />
　  (2020-05-20) <br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>お知らせ：「化学工学」誌に論文『ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える 』が掲載されました</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/28146270/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/28146270/</id>
    <issued>2019-03-30T22:48:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2019-03-30T22:46:38+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[「化学工学」誌の2019年4月号に、わたしの論文『ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える』が掲載されました。 <br />
<br />
<br />
化学工学、という学問名称には馴染みのない方も多いかもしれません。これは化学プラントの設計論を研究する工学で、19世紀の終わり頃から急速に発達した分野です。 <br />
<br />
<br />
英語ではChemical Engineeringと呼び、Mechanical Engineering（機械工学）とか、Electrical Engineering（電気工学）などと並んで、かなりメジャーな技術の一つです。ただ、戦前日本に輸入された際、英語を直訳したため、一つの学問名称の中に「学」が2回登場するという奇妙なことになりました（似たような例は、他に「科学哲学」がありますが）。 <br />
<br />
<br />
「化学工学」誌は、文字どおり化学工学会の学会誌です。以前は紙媒体のみでしたが、現在はWeb化されており、2019年4月号は下記のURLから閲覧ができます。 <br />
〔目次〕<br />
http://scej.org/k/83/04/<br />
<br />
<br />
<br />
わたしの「ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える」は、以下の場所です： <br />
http://scej.org/k/83/04/0222.pdf<br />
<br />
<br />
<br />
なお、わたしの論文にある次の図が、今月号の表紙を飾っています。 <br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201903/30/47/e0058447_22390083.jpg" alt="_e0058447_22390083.jpg" class="IMAGE_MID" height="377" width="500" /></center><br />
<br />
<br />
ただし本サイトの読者は、学会員でないためアクセスできない方がほとんどだと思いますので、少しだけ説明します。この図は、一般的なシステムにおける二種類のアーキテクチャーを示しています。上が、密結合された「インテグラルなシステム」、下が、疎結合な「モジュラーな集合体」です。 <br />
<br />
<br />
システムとは一般に、「目的を成し遂げるため、相互に作用する要素（element）を組み合わせたもの」と定義されます（国際システム工学協会INCOSEによる定義）。その意味で携帯電話もシステムですし、自動車もコンピュータもシステムです。 <br />
<br />
<br />
そして工場も、システムの一種です。ただ、その要素に、働く人も含まれている点に特徴があります。工場を設計するとは、単に機械や建物の設計図を書くだけではなく、機械と人と建物とITからなる、複雑なシステムを設計することに他なりません。 <br />
<br />
<br />
ところで日本では、化学・石油などいわゆるプロセス産業の生産設備を「プラント」と呼び、自動車や家電製品などを作る場所を「工場」と呼ぶならわしになっています。英語ではどちらもPlantなのですが、日本では別物だと思われています。実際、外見もずいぶん違います。前者は屋外にあって配管が縦横無尽に走っており、後者は建物の中にあって工作機械やコンベヤと人が並んでいる、と。 <br />
<br />
<br />
たしかにその通りなのですが、じつは両者の最大の違いは、システムとしてのアーキテクチャーの違いにあるのです。いわゆるプロセス産業のプラントは、密結合された「インテグラルなシステム」であり、他方、組立加工系産業（ディスクリート型ともいいます）の工場は、「モジュラーな工程の集合体」になっています。 <br />
<br />
<br />
そして、このようなアーキテクチャーの最大の違いは、その運転（操業）のあり方に現れます。いわゆるプラントでは、「中央制御室」があって、そこから工場内の主要な工程は全てモニタリングされ、決定されています。ところが組立加工系の工場にはそうした仕組みが一般になく、現場の各工程が分散的に意思決定をするようになっています。<br />
（なお、正確にはプロセス系とディスクリート系の間には、その混合的な性格を持つ「切替型連続生産」という形態がありますが、ここでは省きます。興味がある方は拙著『革新的生産スケジューリング入門』をごらんください）<br />
<br />
<br />
わたしの論文では、このようなアーキテクチャーの差異が、じつは扱うマテリアルが流体か固体かという、単純な違いに起因することを明らかにします。この差は、さらに工場の設計方法（手順）にも大きな影響を及ぼします。インテグラルなシステムであるプラントでは、化学工学の一領域である「プロセスシステム工学」が最初に全体を設計し、ついで機械装置や配管・計装など要素の設計に進みます。ところがディスクリート系の工場は、こうした流れが確立しておらず、機械設計と建築設計が独立して平行に進んだりします。 <br />
<br />
<br />
ところで日本の化学産業は、近年、エチレンなどの基礎原料（バルクケミカル）から、機能性素材などの製品に利益の源泉が移っています。機能性素材の多くは個体のハンドリングが要求され、ディスクリート系の性質を強く持っています。したがって最近の化学工場は、両者の特性を併せ持つ「ディスクリート・ケミカル工場」ともいうべき存在になっており、その設計論は新たな進展が要求されている、というのが論文の骨子です。 <br />
<br />
<br />
ここまでなら、たぶん化学産業以外の人には、さほど興味ない話題だと思います。事実、わたしは2006年に『ディスクリート・ケミカル工場』の概念を、化学工学会の展望講演で発表し、このサイトにも関連記事を書いたのですが、ほとんど反応はありませんでした。 <br />
<br />
<br />
ところが最近になって、ここにIoTという注目の技術が登場します。IoTとセンシング技術は、従来モジュラー型でしか設計し得なかった組立加工系の工場を、インテグラルなシステムに変える潜在的可能性を持っています。この可能性に早くから着目したのが、ドイツの「インダストリー4.0」構想でした。 <br />
<br />
<br />
ただ、あいにく日本では、ただ単体の機械にセンサーをつけてデータ解析するだけの、部分的な「スマート化」としか理解されませんでした。そもそも、システムのアーキテクチャー、といったシステム工学の概念が、工場設計（生産技術）の分野で希薄だったのです。それに追い打ちをかけたのは、リーマンショック以来の生産技術部門の弱体化でした。 <br />
<br />
<br />
わたしが昨年来、「次世代スマート工場」のエンジニアリングに関する研究会組織を立ち上げて活動しているのは、そういった背景があるのです。このまま日本の工場作りの弱体化を見過ごすべきではない、という気持ちを、エンジニアリング業界の人間として、強く感じています。 <br />
<br />
<br />
この「化学工学」誌の特集『プロセス産業のスマート化への挑戦』には、他にも東芝（前Siemens）の島田太郎氏による「プロセス業界におけるIndustrie4.0」をはじめ、注目すべき解説論文が並んでいます。ご興味のある方は、ぜひ読まれることをお勧めします。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＜関連エントリ＞ <br />
　→「ディスクリート・ケミカル産業」 https://brevis.exblog.jp/3240905/ （2006-04-17） <br />
　→「ディスクリート・ケミカル工場を設計する」 https://brevis.exblog.jp/3304091/ （2006-04-26） <br />
　→「『スマート工場』はスマートか？」 https://brevis.exblog.jp/27295851/ （2018-05-26） <br />
　→「『インテグレーター不在』という深い谷間」 https://brevis.exblog.jp/27172645/ （2018-04-01 <br />
<br />
<br />
]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ラインビルダーとは何か、なぜ今、必要なのか</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://brevis.exblog.jp/27322112/" />
    <id>http://brevis.exblog.jp/27322112/</id>
    <issued>2018-06-09T23:56:00+09:00</issued>
    <modified>2025-10-19T13:13:14+09:00</modified>
    <created>2018-06-10T00:10:30+09:00</created>
    <author><name>Tomoichi_Sato</name></author>
    <dc:subject>C1 工場計画論</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[平田機工という会社を初めて訪れたのは、一昨年の夏だった。熊本の企業で、熊本市の本社の近くに、いくつもの工場が隣接・点在している。いや、本当は東証に上場している全国区の企業であり、年商はその当時すでに600億前後あったと思う。だが、3年前の熊本地震を機に、わざわざ本社を東京から発祥の地・熊本に戻していた。紹介いただいたのは、野村総研でサプライチェーンやロボティクス専門家として著名なF氏である。<br />
<br />
<br />
平田機工は、業種分類的には、機械メーカーということになるのだろう。事実、自社で機械を設計製造している。だが、その本当の業態を表すならば、「ラインビルダー」という言葉がふさわしい。ラインビルダーとは、高度に自動化された製造ラインを、機械も制御もITも含め、丸ごと一式作って、顧客の工場に納める仕事である。<br />
<br />
<br />
たとえば、あの米国の自動車会社GMの最新式製造ラインを、平田機工は熊本の工場で作っている。米国から技術者がきて、工場出荷前の立会検査を念入りに行い、それから機材をばらして米国に送るのだ。行って、自分の目で見て、仰天した。こんなことが日本の地方で行われているとは、ほとんど誰も知るまい。<br />
<br />
<br />
自動車の製造ラインだけではない。加えて、半導体と、家電の製造ラインが、平田機工の三大得意分野だ。それも主要な顧客はすべて、海外の著名大企業である。英国の家電メーカー・ダイソンの新しい「ウルトラソニック」ヘアドライヤーの自動組み立てラインも、平田機工が作った（YouTubeに画像がある）。平田社長のところには、創業者ダイソン氏からも、故スティーブ・ジョブズからも、そして現在アメリカの自動車業界を大変にぎわしている某M氏からも、直接電話がかかってくる。この3人から直接、相談の電話がかかってくる人物など、日本の政財界広しといえども、他には居るまい。<br />
<br />
<br />
平田社長によると、会社には営業マンは実質、3人しかいないのだそうだ。営業本部などというものは、存在しない。顧客がいわば門前に行列をなし、その中から好きな仕事を選べるからだ。それは、同社にしか作れない、非常にユニークな技術を多数持っているからである。事実、２～３年先まで、もう注文で仕事は埋まっているという。同じ受注ビジネスの世界に生きる者なのに、自社とのあまりの違いに頭がクラクラした。<br />
<br />
<br />
そして、一括請負形態なのに、きわめて高収益である。いまでも返す返す残念なのは、このとき帰ってすぐ、同社の株を買っておかなかったことだ。たしかまだ5千円台だったのではないかと思う。今ではすでに倍以上である。東証で一番、過去数年間の株価上昇率が高い企業の一つなのだ。ただ、仕事の9割近くが海外で、国内ではあまり知られていない。本当に、知れば知るほど、不思議な魅力をもった企業である。<br />
<br />
<br />
ところでその後、再度同社を訪問したわたしは、単なる一介の会社員であるにもかかわらず、上場企業の経営者である平田社長に向かって、研究会を立ち上げたいからご協力をいただけないか、とお願いした。ずいぶんと図々しい懇願だったにもかかわらず、快く応じてくださり、昨年夏から研究会組織化の活動が始まった。<br />
<br />
<br />
平田機工に参加してもらって、いったい何をはじめたのか？　それは、「次世代スマート工場の設計論」に関する研究会である。次世代、と名前につけたのは、現在の我が国の「スマート工場」には、いささか足りぬ点があると思ったからだ。それについては、先月、「『スマート工場』はスマートか？」（2018-05-26）に要点を書いたとおりだから繰り返さない。<br />
<br />
<br />
そしてこの問題意識を、国に対し、つまり経産省に対してアピールしなければ、と考えた。研究会は民間の存在だが、わたし達の社会では、お上が何か言わないと、皆あまり聞く耳を持たない。<br />
<br />
<br />
ところで、この動きはどうやら、とてもタイミングを得たものだったらしい。というのは、経産省自身が、日本の製造業のあり方に対して、かなり深い疑問＝問題意識を持ち始めた様子だったからだ。<br />
<br />
<br />
その問題意識は、この5月に発行されたばかりの、2018年版「ものづくり白書」に明瞭に表れている。こうした省庁発行の白書を読む習慣のない人は、多いと思う。だが、今年のものづくり白書は、非常に注目すべきである。過去に比べて、トーンが完全に変わったからだ。端的に言って、このままでは日本のものづくりは衰退する。その根本原因は、かなり根深い「思考習慣」にある、という危機感が、深層に流れているからだ。<br />
<br />
<br />
（ちなみに「ものづくり白書」は書店でも購入できるが、経産省のサイトから無料でダウンロードできる）<br />
    2018年版ものづくり白書（PDF版）<br />
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/index.html<br />
<br />
<br />
白書は冒頭の総論で、「抜本的な変化を実現する上では、ビジネス全体を俯瞰して全体最適化を図るシステム思考の強化が」必須だ、といきなり述べる（P.2。以下、強調太字は筆者が引用時につけたもの）。<br />
<br />
<br />
今日、景況が回復し売上増の傾向にありながら、我が国の多くの製造業は、納期遅れや品質問題にかなり苦しんでいる。なぜなら、製造現場で積み重ねてきた改善活動は、ものづくりに関わるバリューチェーン全体の中で、部分最適にとどまっているからだ。「個別の現場が主導する部分最適」は、しかし、「『現場力』の再構築を『現場』に丸投げ」した結果、生じたものだ。本来はそうではなく、「経営層主導により、バリューチェーン全体で全体最適化を図った現場力の再構築が重要」だと、白書は断言する。（P.86）<br />
<br />
<br />
今年のものづくり白書の議論は、これまで「日本の現場力」を称賛してきた経済メディアなどの従来の論調と、完全に切れていることがお分かりになるだろう。<br />
<br />
<br />
第1章3節で、白書はこう整理する。<br />
<br />
<br />
　「過去：経営環境の変化が小さい時代 ⇒ 部分最適の積み上げが全体最適に」<br />
　「今日：経営環境の変化が激しい時代 ⇒ 部分最適を積み上げても全体最適とならない」（P.170-171）<br />
<br />
<br />
そして、「システム思考、及び学問としてのシステムズエンジニアリング（システム工学）習得の強化が求められる」（P.169）とも書く。<br />
<br />
<br />
なんだか、まるで誰かさんのブログを読んでいるようだ（苦笑）。<br />
<br />
<br />
また、「経営資源としての『データ』の重要性は著しく高まって」いるのに、「我が国においては、現在の状況を単に2000 年前後のIT ブームの再来と受け止める向きも一部には存在するなど、必ずしも、デジタル化のもたらす本質的な産業構造、社会構造へのインパクトが理解されていない」（P.3）という。<br />
<br />
<br />
人材不足は昨今の課題だが、「人材育成で成果があがったとする企業においては、（中略）自社でIT人材を育成する割合が高い」（P.4/P.205）など、驚くべき指摘ではないか。別にIT業界の話を書いているのではない。ものづくり企業において、全体として人材育成が進んでいる会社は、自社でIT人材をも育てている所なのだ。<br />
<br />
<br />
総論の中ではもう一つ、大事なことが書かれている。<br />
「技術革新のスピード、課題の複雑化などが進む中、いわゆる『自前主義』の限界が露呈しており、全てを『競争』領域として捉えることなく、『協調』領域の拡大により、真の『競争』分野への投入リソースの集中を行うことが求められてきている」（P.3）<br />
<br />
<br />
「競争領域と協調領域」という用語は、経産省が以前から使っていた言葉だ。日本企業はすべてにおいて互いに競争するのではなく、共通性の高い業務部分は、外部化することによって、コアの競争領域に経営資源を投入すべきだ。また外部化によって、最新の技術や知恵も利用できるようになる、と。<br />
<br />
<br />
これは、工場における生産ラインづくりにおいても、言いうることだ。<br />
<br />
<br />
そして、その文脈の中、第1章3節で、わたし達の「次世代スマート工場の設計論」研究会の成果も紹介されている。（P171～172）<br />
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/pdf/honbun01_01_03.pdf<br />
<br />
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研究会での議論の成果のうち、白書で特に強調されているのは、我が国に「ラインビルダー業界」を確立すべきだ、との提言部分である。つまり、工場づくり、あるいは生産ラインづくりを、協調領域として、もっとアウトソースするように考えるべきだし、その受け皿として、平田機工のようなラインビルダー企業をもっと認知し育てるべきだ、との提案である。<br />
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日本には、ロボットメーカーや工作機械メーカー、制御システムベンダーが多数存在し、かつ世界的にも技術レベルが高い。これらは、すべて生産ラインを構成する重要な要素、あるいは部品である。しかし、それを組み合わせて高性能な生産ラインを構築し、さらに工場全体を作り上げる「生産システムズ・インテグレーター」というべき企業は少なく、業界団体も存在しない。最近ようやく「ロボットシステム・インテグレーション協会」が立ち上がるようだが、わたしが以前指摘した「インテグレーター不在という深い谷間」は、まだまだ埋まっていない。そこで、あえてラインビルダーという言葉で、その社会的必要性をハイライトしたのである。<br />
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なお、「ラインビルダー」という言葉は、2年前のものづくり白書にも登場したが、どうやらこれは和製英語らしい（少なくとも欧州ではあまり通じなかった）。また、2016年版白書の記述を読むと、どちらかというとMESレベルの情報系インテグレーターを指している印象がある。しかし、ここでわたし達が言っているのは、もっと具体的・物理的な機械装置も含む、インテグレーションである。<br />
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日本の工場づくりには、大きく三つの問題点がある、とわたしは考えている。<br />
(1) 空間・レイアウト・環境制御に関する考慮が足りないこと<br />
(2) ITのインテグレーションが欠落していること<br />
(3) 生産のスケーラビリティ（拡張性）・ポータビリティ（海外移植性）を最初から考慮して設計していないこと<br />
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上記の問題については、個別にこのサイトで触れてきたから、ここではあえて繰り返さない。しかし、それらを生み出した根本問題がある。それは、製造業における生産技術部門の弱体化である。いろいろな有識者の意見をきくと、どうも10年前のリーマンショックがきっかけで、日本の製造業は大幅に生産技術者を切ってしまったらしい。そのツケが、好況になってきた現在に、回ってきたのである。<br />
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結果として生まれたのが、全体性（システム思考）の喪失、縦割りと分業病だろう。そして、このトーンは上記の白書の記述とも合致している。むろん、もっとさかのぼれば、工場の成長と改善を担う中核の生産技術の役割を、十分理解せずに切り捨ててしまった経営者の側に責はあるのだが。<br />
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いずれにしても、今から急に生産技術を社内に再建する時間はない。だから、工場づくりの「自前主義」からの脱却こそ、解決策である。そしてアウトソース先としての、ラインビルダー業界の確立と認知が、急務であろう。これがわたし達の提言だ。<br />
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まあ、工場自前主義の脱却といっても、まだ社内にたっぷり人を抱えている超大手は別である。ここでは主に準大手・中堅企業を考えている。だが、大手でも、他社の知恵をまなぶべきときに来ていると、わたしは思う。白書にも引用されている図を見てほしい。製造業にとって、集中すべき「競争領域」は、本当に核となる自社製品の製造技術と、そのための人材育成である。それを支える周辺要素、すなわち物流・建築・ITシステムなどは、業種をまたいで共通性が高い「協調領域」であって、アウトソースする方が効率性がいい。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201806/10/47/e0058447_00061961.png" alt="_e0058447_00061961.png" class="IMAGE_MID" height="223" width="406" /></center><br />
そして、協調領域の要素を提供できる企業は、すでに日本国内に多数存在しているのである。それをまとめるインテグレーション業界が、必要なのだ。それがラインビルダーである。加えて言うと、こうしたラインビルダー的なビジネスは、顧客の個別要求とのすり合わせが必要とされる。相手の要望を聞き、まじめに構築する仕事だから、じつは日本人に非常に向いている。だから、ラインビルダーは新しい輸出産業となる可能性さえ、秘めているのである。<br />
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え？　そもそも工場なんて自分で持たず、製品開発に特化したファブレス企業になり、製造はコストの安い中国あたりに委託する方がいい？　スマイルカーブが示すように、製造などそもそも、お金の儲からない仕事だから、それが一歩進んだ製造業の経営戦略だって？<br />
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やれやれ。「スマイルカーブ」論は、さかのぼると、じつは台湾の受託製造業者が言い出した、マーケティング用の概念である。それを日本のメディアや外資系コンサルあたりが、普遍的真理であるかのように持ち上げるのは、どうかと思う。スマイルカーブが成立するのは、ある特定の条件が成り立った時だ（この話は始めると長くなるので、別の機会にしよう）。ただ、ものづくりと自社製造が本当に儲からないかどうか、ためしに冒頭にあげた平田機工の例を見てみたらどうか。<br />
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今わたしはこの文章の最後の部分を、ドイツのハノーバーに向かう飛行機の機内で書いている。海外の製造業の進展状況を見聞きするにつけ、日本の製造業が技術的にリードできる時代は、もうあまり残されていないと、よく感じる。我々に残された最後のチャンスを、できるだけしっかりつかむためにも、ラインビルダーという名のインテグレーター達が育つことを、心から願っている。<br />
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＜関連エントリ＞<br />
　→「『スマート工場』はスマートか？」 https://brevis.exblog.jp/27295851/ （2018-05-26）<br />
　→「『インテグレーター不在』という深い谷間」 https://brevis.exblog.jp/27172645/ （2018-04-01）<br />
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