お知らせです。来る3月27日(金)に、関西設計管理研究会(KEAC)の例会で、設計業務のプロジェクト・マネジメントについてお話しします。場所は京都の四条烏丸に近い京都経済センターで、午後1時40分からの予定です。年度末の時期ですが、関西であまりPMの講演をする機会がないので、ぜひお越し下さい(研究会員企業限定ですが、体験参加も可能とのことですので、ご興味のある方は佐藤までご連絡ください)。 ご存じの通りプロジェクトとは一回限りの、ユニークな仕事(=他に同一なものが無い仕事)を指します。PMBOK Guide(R)の、「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務」という有名な(そして難解な)定義もまさに、『独自の』『有期的な』という言葉(原語はuniqueとtemporary)で、それを表現しています。 考えてみると設計という仕事は、まさにそのようなプロジェクト的性質を最初から持っています。それは製造業の他の業務と比べると分かります。工場の製造現場では、技能員が全くおなじ部品を繰り返し繰り返し、作っています。しかし技術者が、全くおなじ設計図面を何枚も何枚も作ることは、あり得ません。設計のアウトプットは、必ず(少しであれ)従来のものとは違っていて、つまりユニークです。そして設計業務は基本的に、出図すれば終わりとなる、一過性の業務です。だとすると設計業務は、すべてプロジェクトだと言えるでしょう。 では、設計業務をプロジェクト・マネジメントの視点から動かそうと考える企業は、どれだけいるのでしょうか? 実はこの3月の講演に先立って、KEACの研究会員に簡単なアンケートをしてもらいました。会員メンバーの多くは製造業の設計部門の技術者です(ちなみに、名称には「関西」とありますが、関西以外からの参加者も、それなりにおられるとのこと)。そこから、興味深い事実が見えてきました。 たとえば会社に公式な役職として「プロジェクト・マネージャー」がいるかどうか。皆さんは、どれくらいの比率だと思われますか? 研究会にとっていただいたアンケート結果をここで勝手に公開できないので、数字は当日お話ししますが、かなり少ないのです。プロジェクト的業務なのに、プロマネがいない。その結果、何が起きるでしょうか? ちなみに、日揮のようなプラント・エンジニアリング業界では、必ず『エンジニアリング・マネージャー』という職種の人たちがいます。プラント系プロジェクトは、大まかに言うと設計(エンジニアリング)のフェーズ、調達フェーズ、建設フェーズに分かれます。その設計フェーズのプロジェクト業務をとりまとめる責任者が、エンジニアリング・マネージャー(略称EM)です。この職種はある意味、プロマネの右腕であり、EM職はプロマネへの登竜門とも言われます。 このエンジニアリング・マネージャーの養成教育について、少し前に調べたことがあるのですが、米国にはちゃんとEM教育のためのコースを持つ大学が存在します。しかし、日本には調べた限り皆無でした。(まあプロマネ教育の専攻コースだって、国内の大学には皆無ですから、推して知るべしですが) 音楽にたとえてみるならば、日本にはヴァイオリンやチェロや金管といった、各種専門分野の教育は存在するけれど(これらが工学部で言う電気とか機械とか土木に相当します)、指揮者を養成教育するコースだけが存在しない訳です。 なぜか? それは、不要だと思われてきたからでしょう。実際、西洋のオーケストラには指揮者がいますが、日本の雅楽とか能楽の演奏団には、指揮者なんていませんしね。横目でちらと見て、阿吽の呼吸であわせる、と。それで済んできたのです。 しかしそれは小規模で、ゆったりした曲調の場合の話です。曲が複雑・大規模化してスピード感を求められたら、やはり誰かタクトを振るう役割が必要になります。設計もおなじでしょう。複雑化し大規模化し、スピードを求められたら、やはり専門のマネジメントが必要になるのです。日本の製造業の多くは、この変化にまだついて来られずにいるのではないか、と危惧します。じっさい、PLMソフトウェアのベンダーからは、単なる図面管理をこえた、設計進捗管理やBOM展開などの機能を、使いこなせているユーザはまだ少ないと聞いています。 では、設計のプロジェクト・マネジメントとは具体的にどんな仕事なのか。どういう技量が必要なのか。それについて、限られた時間ではありますが、ご説明しようというのが今回の講演です。昨年夏に引き続き、講演にお呼びいただいた関西設計管理研究会(KEAC)さんに、あらためて感謝いたします。 <記> 講演タイトル(仮):「エンジニアリング・マネジメントの役割と価値 〜 プロジェクトの視点から設計をとらえ直す」 日時:2026年3月27日(金) 13:15 ~ 17:00 (わたしの講演は13:40 ~ 15:10の予定です) 開催方法:ハイブリッド開催(リアル70名+オンライン70名)、研究会員限定 【リアル会場】京都経済センター 6階 6-C 会議室 主催団体:関西設計管理研究会(KEAC) 開催案内はこちらのページです(注:3月2日に更新されました) このテーマに関心のある方のご来聴をお待ちしております。 佐藤知一@横浜
by Tomoichi_Sato
| 2026-02-22 21:57
| E2 設計のマネジメント
|
Comments(0)
|
検索
カテゴリ
全体 A 生産マネジメントとSCM A1 生産マネジメント全般 A2 生産計画と生産スケジューリング A3 在庫・調達計画 A4 コスト・品質・安全 A5 BOM(部品表) A6 サプライチェーン B プロジェクト・マネジメント(PM) B1 プロジェクト・マネジメント全般 B2 スコープ・WBS・プロジェクト組織 B3 プロジェクト・スケジューリング B4 プロジェクト・コストと見積 B5 プロジェクトの価値とリスク B6 プログラム・PMO・ガバナンス C システムとしての工場 C1 工場計画論 C2 スマート工場論 D 情報システムのマネジメント D1 製造業のITシステム D2 ITアーキテクチャ・データ活用技術 D3 ITって、何? E ビジネス・マネジメントと管理技術 E1 マネジメントの技術論 E2 設計のマネジメント E3 組織・経営・戦略論 E4 ビジネスのソフト・スキル E5 時間管理術 E6 メンタルと働き方のマネジメント F 考えるヒント F1 思考とモデリングの技法 F2 社会・言語・文化 G 書評 H English articles 未分類 最新の記事
記事ランキング
著書・姉妹サイト
ニュースレターに登録
私のプロフィル My Profile 【著書】 「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書 「時間管理術 「BOM/部品表入門 (図解でわかる生産の実務) 「リスク確率に基づくプロジェクト・マネジメントの研究 【姉妹サイト】 マネジメントのテクノロジーを考える Tweet: tomoichi_sato 以前の記事
2026年 04月 2026年 03月 2026年 02月 2026年 01月 2025年 12月 2025年 11月 2025年 10月 2025年 09月 2025年 08月 2025年 07月 more... ブログパーツ
メール配信サービス by Benchmark 最新のコメント
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||