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お知らせ:9月6日(水)に第3回スマート工場技術シンポジウムを開催します

お知らせです。(財)エンジニアリング協会「 次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」 では、来る9月6日(水)に、第3回目のスマート工場技術に関するシンポジウムを開きます。

当研究会では一昨年、昨年と、「製造実行システムMES/MOM」をテーマに、オンラインシンポジウムを開催しました。おかげさまで昨年は500名を超える方に参加いただき、日本でも普及しつつあるMES/MOMについて、内外の活用事例などを学べる機会となりました。

今年は単なるMES/MOMの枠を超えて、もう少し広く工場スマート化のための技術を取り上げることにしました。そのため、テーマ設定も

スマート製造への道のり ~ デジタル・ロボット・サプライチェーン

と題し、MESに加えて、ロボット化や、サプライチェーンに関する最新技術に関するテーマ講演も予定しています。

工場デジタル化に向けた投資も、ようやく本格化しつつあるようです。これは平成不況以来、長らく投資不足に苦しんできた日本の製造現場にとって、朗報でしょう。しかし改革のターゲットが大きくなれば、それだけチャレンジも大きくなります。また必要な技術の範囲も広がります。全体像を理解して語れる人が、まだまだ少ない現実があります。

また欧州や米国の「スマートな」やり方を、そのまま真似ても、日本の現実にはなかなかフィットしません。道具は輸入できますが、日本流の使いこなしは、自分達で工夫しなければならないのです。というのも、工場の在り方も人の資質も、そして工場を取り巻くビジネス環境や取引慣行も、相当に異なるからです。

その一つの良い例が、需要変動と生産スケジューリングのあり方でしょう。米国やドイツの製造業は本質的に計画生産です。あらかじめ決めた通りに、モノを調達して作ります。個別製の強い受注生産でさえ極力、標準化とグループ化で乗り切ろうとします。そこでのスケジューリングは、どのような手順で作るのが一番効率的かという、いわば数学問題のような視点になります。

ところが日本では、流通業からの短納期の注文、目まぐるしく変わる需要予測、あてにならない販売計画、そして内示と乖離した実需(かんばん)などの商慣習があり、大手でさえ計画や見通しの立てにくい状況です。まして大手から「ジャスト・イン・タイム納品」を要求される中小下請けは、言わずもがな、です。ここでの問題は「乱気流のような需要変化に、どう機敏に対応するか」であって、計画変更のスピード、計画のサイクルタイム短縮に鍵がありそうです。

生産スケジューリングは一応、MES/MOMの領域に含まれますし、ERPでカバーされるケースもありますが、独立したジャンルと言っていいでしょう。幸い、日本には優れた生産スケジューラのメーカーが複数あり、PC上で軽快に動作するソフトを以前から提供してきました。

そこで今回のシンポジウムでは特に、スケジューラの二大巨頭であるアスプローバ(株)さんと、(株)フレクシェさんにお願いして、最新の技術を紹介いただきます。両社の実力と、個性の違いを楽しんでいただけると確信しています。

また、製造現場のロボット化については、日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)を設立初期から牽引してこられた(株)ヒロテックさんの講演が、非常に参考になるでしょう。くわえて、「身の丈に合ったスマート工場への変革」の実践事例を、アイシン九州(株)さんから聞けるのも楽しみです。

そしてサプライチェーンに関しては、先月翻訳を出版したばかりの「サプライチェーン・サイエンス」(W・ホップ著、近代科学社)の監訳者である慶応大学・松川弘明教授から、入門的なレクチャーをいただきます。サプライチェーン・マネジメントには原理原則がある、などと力説しなければならないのが、日本の根性主義文化の現実なのかもしれません。ですが、それに風穴を開けるための方法論がここにあります。

なお、(紹介の順序が逆になってしまいましたが)全体シンポジウムの基調講演として、経産省製造産業局・杉原諒様から「ものづくり白書」 の概要と、スマート工場に関する国の施策をお話しいただきます(念のために書いておきますが、「ものづくり白書」って読んでみると、意外と面白いですよ!)。あわせて研究会の幹事である野村総研・藤野様とわたし自身が、3回目を迎える我々の研究会の歩みと、昨年のアンケート調査結果の紹介などを行う予定です。

局所的なスマートを積み上げても、工場全体のスマートさは得られない――わたし達の研究会は繰返し、こう主張してきました。全体を理解し、全体を構想する能力を得ること。これがわたし達に課せられた、課題です。そのためには定期的に、外部のフレッシュな情報に身をさらすのが一番です。

たまたまこの文章を書いている今、わたしは米国の巨大製造業の本社を訪れている最中ですが、DX担当役員やSCMの上級管理者の話などを聞いても、スマート製造化にマジックはない、との感を強く持ちました。資金と技術に恵まれた大企業でさえ、既存資産の伝統の重みを背負いつつ、悩みながら進んでいるのです。

本シンポジウムは今回から有償(会員企業7千円、非会員企業1万円)とさせていただきましたが、その代わり参加された方は、当研究会の「フォーラム会員」に登録いただけます。例会やプロジェクトに参加し、研究会の報告書等のアウトプットを共有することができるようになります。また希望者には、PMIが発行するPDU (Professional Development Unit)証を授与いたします。

多くの方のご来聴を願っております。

<記>

スマート製造への道のり ~ デジタル・ロボット・サプライチェーン

日時:2023年9月6日(水) 10:00 ~ 17:00

開催方法:ハイブリッド開催
     (ただし、リアル会場は人数に限りがあります――24名・先着順。
      オンラインは、とくに上限を定める予定はありません)

協賛団体ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)
      一般社団法人インダストリアルバリューチェーンイニシアティブ(IVI)

開催案内と参加申込みはこちらのページから:
 エンジニアリング協会HP https://www.enaa.or.jp/seminar/62702


以上、よろしくお願いいたします。


佐藤知一@日揮ホールディングス(株)


by Tomoichi_Sato | 2023-08-05 12:14 | C2 スマート工場論 | Comments(0)
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