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お知らせ:MESに関するシンポジウムを9/01に開催します

MES(製造実行システム)なるものが最近、急速に普及している、と聞く。工場での製造のマネジメントにかかわる仕事を、見通しよく・素早く・楽にしてくれるそうだ。「スマート工場化」の流れにも合致して、現場の生産性向上に貢献するらしい。

ただ、具体的にどんな仕組みなのかが、今一つ分かりにくい。製造現場の事情に明るい「デジタル人材」は社内に少ないし、参考になる情報も限られている。誰に相談したら良いだろうか?

・・こんな風に思い悩んでおられる、製造業や関連産業の皆様のために、(財)エンジニアリング協会「次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」は、9月1日にシンポジウムを企画しました。

タイトルは、『工場スマート化のための製造実行システム”MES” ― 広がる導入と実例に学ぶ活用方法』。オンライン形式で、参加費用は無償です。

本シンポジウムは午前・午後1・午後2の3部からなり、総勢14名の講演者によって、事例中心の実践的な報告・紹介が行われます。業種も機械・食品・電機・半導体など幅広く、国内・海外の最新ユースケースや、中小企業の動向、そして国際標準の動きなども解説される予定です。

当研究会では昨年10月にもMESの製品紹介を中心とした半日シンポジウムを開催しましたが、今年はユーザ側の具体的事例を中心に、さらにパワーアップしたイベントといたします。

開催案内と参加申込みはこちらのページです:
 エンジニアリング協会HP https://www.enaa.or.jp/seminar/57017


・・さて、普通のお知らせならここで終わりなのですが、小生は本プログラムの仕掛け人なので、各講演のポイント・聴き所を、当サイトの読者の皆さんだけに内緒で教えてしまいましょう(内緒ですよ、ホント)。

10:00- 「開会挨拶/シンポジウムの狙い」は、慶応義塾大学管理工学科教授・松川弘明先生(当研究会主査で、日本経営工学会の前会長でもあります)のオープニング・アドレス。日本の生産物流とSCMの権威である松川先生から、ピリッとしたお言葉をいただけるはずです。

10:10- 「基調講演」は、経済産業省の製造産業局より講師をお招きする予定です。「ものづくり白書」を担当する部署でもありますから、日本のものづくりの実力と課題について、オーバービューをお話しいただけると期待しています。

10:20- 「基調講演 昨年のシンポジウム成果報告ほか」は、野村総研の藤野直明氏・藤浪啓氏と、わたしとで分担し、昨年実施した『MES導入動向調査』(←METI報告書の後半部分)の結果などについてお話しします。

10:40- 講演A「食品工場におけるMESの機能概要と導入事例」をお話しいただくのは、現在M2 Technology(株)社長で、博士(工学)の松本卓夫様です。松本様は前職で、国内最新鋭の大規模な乳製品工場・物流センターを構築されたプロマネです。MESと製造ラインの制御システムのアーキテクチャについても、独自の考えを披露いただけるはずです。

11:20- 講演B「日立が考えるスマート工場実現のためのデータ・システム活用」。日立製作所の大みか工場は、世界経済フォーラム(ダボス会議)がマッキンゼー社と協力して選定した、世界の「Lighthouse(灯台)工場」に、日系企業として唯一入っている旗艦工場です。吉田秀信様に、とくにデジタルの面を語っていただきます。

13:00- 講演C「『スマートファクトリ』から『ものづくりDX』へ」は、工作機械メーカーの雄、オークマ(株)の領木正人副社長による、本社工場「Dream Site」実現の取組のご紹介です。 領木様はわたしの尊敬する論客で、同社のDream Siteは機械加工組立系スマート工場のトップランナーの一つと信じます。

13:40- 講演D「国内製造業における生産システム投資動向」は、(株)日本政策投資銀行の産業調査部で、ずっとスマート工場を追いかけておられる佐無田啓様のご講演で、主に中堅・中小企業の投資動向と、金融機関から見たポイントなどをお話いただける予定です。

14:00- 講演E「生産設備メーカーから見たMES」は、知る人ぞ知る製造ラインビルダー業界の雄・平田機工(株)の神田橋嗣充様による、主に海外のMES論です。同社は半導体・自動車・電機の3分野で、世界トップクラスの製造業に、工場の生産設備ライン一式を設計・納品して来られました。その目から見たMES像、個人的にも大変期待しています。

14:40- 講演F「中小製造業におけるクラウド型MES導入事例」は、Rockwell Automation Japanの鈴木聡による、主に米国における組立加工系でのMES活用事例のご紹介です。自動化と制御分野に強い同社による、製造管理・MES系ソフトウェアの事例を聞ける予定です。

15:00- 講演G「設計・製造・オートメーションにわたるシーメンス自社工場適用事例」は、ドイツにある同社のErlangen工場での取組紹介です。同社はMESベンダーでもありますが、個別受注生産の制御システム製造にMESを適用するには、どんな知恵が必要だったか。独Industry 4.0の牽引役であるシーメンスの工夫をご覧ください。

15:30- 総括講演「生産システムDX化の鍵を握るMES国際標準の概要と動向」は、全体の締めにふさわしく、エンジ協会でも活躍中の国際標準化コンサルタント出町公二様に、MES/MOMの国際標準ISA-95を解説いただきます。

ということで、当分野に通暁した第一線の講師陣をお招きし、全3部構成・1日がかりのシンポジウムをオンラインで提供します。全体を聞いていただいても、興味ある部分だけに参加いただいてもかまいません。アンケートに回答いただいた方には講演資料を共有いたします。

自分で書くのも何ですが、内容のレベルには自信あり、です。唯一少しだけ心配なのは、盛りだくさんすぎて、時間が足りなくなりそうな事でしょうか。その場合、佐藤のムダなしゃべりは早く切り上げ(笑)、招待講演にできるだけ時間を回すつもりです。ともあれ、製造現場のデジタル化と情報化のコアとなる、「MES/MOMシステム」の導入構築に関心をお持ちの方に、役立つ場を提供する所存です。

ぜひご参加ください。


佐藤知一@日揮ホールディングス(株)


by Tomoichi_Sato | 2022-08-04 23:24 | Comments(0)
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