今年は冬が寒かったせいか、春の花の訪れが遅い。ただ、横浜あたりでも先週くらいから、花粉症の季節になってきたらしく、春の鼻の悩みがまた戻ってきた。 6年前にこのサイトで、わたしは『蒸しタオル法』という花粉症対策の方法を紹介した。寝る前に、蒸しタオルで鼻を温めるだけ、というひどく簡単な方法である。具体的なやり方を、その時の記事から再掲する。 「蒸しタオルと言っても、まあ、おしぼりのようなものだ。ただ、普通の湯沸かし器の40℃くらいのお湯では、ぬるくてすぐに冷めてしまう。60℃くらいがいいようだが、お湯をいちいち沸かすのは面倒なので、わたしは電子レンジで1分前後チンすることにした。そして熱くなったタオルを、仰向けの顔の上にのせる。最初、湯気が鼻腔を通るようにする必要があるのかと思ったが、鼻筋が温まって血行が良くなることが大事らしい。わずか3分。タオルを用意する手間をふくめても5分だ。」 この方法で、しばらくは花粉症の薬も飲まずにすみ、順調だった。 ところが一昨年の春頃から、どうも頭痛がひどくてつらい日が増えた。わたしの場合、花粉症の主症状は、くしゃみ・鼻水よりも頭痛なのである。それも眼精疲労のような症状と連動している。一応、考えることが仕事だし、PCでの読み書きも避け得ないので、生産性が落ちて閉口した。心配だから脳ドックも受信してみた。でも、加齢現象は認められるが、まあ異常なしだった。やむなく、一昨年はアレルギー薬のお世話になった。 だが、やはり薬は飲みたくない(眠くなるし、なぜか血圧も上がるのだ)。そこで蒸しタオルを顔に乗せる時間を、3分から9分に伸ばすことにした。昨年3月に、その中間報告をした訳だが、その後も一応、花粉症の薬は飲まずに、なんとか昨年はしのぎ切った。今年もとりあえずまだ、飲まずにいる。 ところで昨年秋に、気づいたことがあった。秋も若干、花粉症気味になるのだが、どうもこの頭痛は、単に鼻のアレルギーだけでなく、メンタルなストレスも関係しているらしいのだ。具体的に言うと、読まなければいけないメールが多数溜まってイライラしている時に、頭痛が起きやすい。仕事が重なっているときも、そうだった。 そういう訳で、寝る前の蒸しタオルの時間を長くしたことに加えて、なるべくストレス感情を和らげてリリースすることを、試みるようになった。 具体的には、思考の回路をいったん止めて、自分の中に怒りとか不安といった感情があることを、まず認める。次に、深呼吸しながら息を落ち着けて、その感情が「そこにいてもいい」「流れにまかせる」などと、心のなかで自分に言ってみるのである。ネガティブな感情を抑制したり、コントロールしたりするのではない。森田療法などでも語られることだが、感情はそれ自体に、高まっては消えていく自然な流れのサイクルがある。それなのに、無理やり押し殺そうとしたりすると、逆に暴れるらしいのだ。 これをすると魔法のように頭痛が消えていった、と書きたいところだが、今のところ、そこまでの効果はない。ただ、少し楽になる。あるいは早めに治ることが多い、とは感じている。 わたし達は日々、ストレスにさらされている。仕事だけでもストレスなのに、この2年間というもの、コロナウィルス禍に怯えてきた。この2週間は加えて、戦争やインフレにも怯えている。もうちょっと勘弁してよ、という気持ちの人は多いと思う。 ストレス感情は、ある種の情報過多からもたらされる気もする。わたしは普段からTVをあまり見ないし、電車の中ではスマホも見ないようにしている(目にもわるいからだ)。新聞も、あまり熱心に読まない。経営企画部門の人間がそれでいいのか、と怒られそうだが、いろんなチャネルから入ってくる情報量は実に多いのだ。 わたし達は、情報中毒になりかけている。だが情報は、あなたを癒やさない(ほとんどの場合は)。氾濫する情報の多くは、知的経路を通って、感情を刺激するばかりだ。だから怒りっぽい人が、世には非常に多い。 感情のリリースに加えて、1年ほど前から、毎日短い瞑想の時間を取るようになった。最近のはやり言葉で言えば「マインドフルネス」である。座っていると、しばしばいろんな思考や雑念が浮かぶが、ふと我に返り、シンプルな感覚の世界に戻るのを待つ。 効果は? よく分からない。スポーツジムに通ってやっている、ヨガみたいなものだ。どちらも効果は、よく分からない。ただまあ、感情のキャパが小さいわたしでも、少しは心が落ち着く、とは言える(そもそもヨガというのは、瞑想のための準備運動だった)。 エンジニアの仕事というのは、知的労働のように見えて、その中に感情労働の部分が、かなり含まれている。脳の中の記憶や判別といった知的処理機能を酷使しているのに加えて、じつは感情面の機能もずいぶんすり減らしているのではないかと思う。それなのに、ビジネスの中の「感情」という側面に、わたし達は無頓着でありすぎる。 中毒は不安を燃料にして、燃え盛るものだ。そして不安な情報はさながら感染症のように、人の中で思考によって増幅され、伝染していく。だが、わたし達の感情は、わたし達の身体と同じように、大切にすべきもので、消耗させてはならない。そしてそのためには、たぶん自律性が必要なのだ。心身の免疫力を少しでも高めるために、過度に知的になりすぎないことが大事らしいと、顔に蒸しタオルを乗せながら、春に思うのである。 <関連エントリ> →「わたしが花粉症の薬を飲まずにすむようになった、1日3分の簡単な習慣」 (2016-04-07) →「知識労働、肉体労働、そして『感情労働』」 (2011-08-19)
by Tomoichi_Sato
| 2022-03-10 23:18
| E6 メンタルと働き方のマネジメント
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