えー、ここでまた恒例のお知らせです(^^) BOM=部品表に関するセミナーを、今月の後半に2つ、行います。一つは無償のウェビナー、もう一つは有償のオンライン・セミナー(一日コース)です。 「製造業のデジタル化に関する問題は、ITシステムが足りないことではない、むしろシステムが多すぎることだ」――これは最近、ある大手製造業のキーマンの方から聞いた言葉です。その方によると、自社のある事業部を調べたところ、なんとシステムは大小合わせて千以上もあったが、その多くがExcelで書かれ、互いにデータがちゃんとつながっていない状態であった、と・・。 相互につながっていない多数のシステムを抱え、その間のつなぎを、人間が手作業で行っている組織に、アジリティ(俊敏性)など求めようもないことは、言うまでもありません。 製造業におけるシステム・インテグレーションの中核部分には、基準情報としてのBOM(部品表)データがあります。製造業なら、どの企業も必ず、BOMを持っています(そうでなければ材料も購入できません)。しかし、BOMデータをきちんとマネジメントできている会社は、決して多くないようです。BOMには、受注・製品設計・工程設計・購買・生産管理・製造・品管・物流・保全・サービス・会計と、数多くの部門が、いろいろなフェーズとタイミングで関わるからです。 この問題を多面的に理解するために、2004年に「BOM/部品表入門」を山崎誠氏と共著で出版しました。以来、15年以上が経ちましたが、本書はいまだに現役で、累計1万2千部以上が売れ、中国語版も好評です。それだけ、この問題に悩む企業が多い証拠なのでしょう。 じつは、本書は最初、ERPパッケージの生産管理部分を担当するITエンジニアに対して、その設定方法の基本を教えるための本として、構想しました。BOM構築に悩む企業に、前著「革新的生産スケジューリング入門」の主人公である矢口先生がレクチャーに行き、各部門と対話を行っていく、というスタイルの設定です。 ちなみに、わたしの著書は、前述書をはじめ、「時間管理術」や「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」など、なぜかみな、登場人物たちの対話による構成になっています。もしかしたら前世は、売れない劇作家だったのかもしれません(;_;) ところが書き進めていくうちに、BOMに関する全く違った主張の本に、変わっていきました。BOMは製造業におけるインテグレーションの中核データであり、維持と保守を、特定の外部パッケージソフトに依存するのではなく、自社でBOMプロセッサを構築すべきだ、というのが、本書のたどりついた結論です。 では、具体的にはどうすべきか。もちろん、その企業の生産方式やBOMの特性、そして現状システムのあり方に応じて、答えは千差万別です。ただ、共通の基本概念を理解し、BOM特有の各種テクニックを飲み込んだ上で取り組まなければ、あまりにも非効率でしょう。さらに近年では、BOP(Bill of Process=工程表)概念の普及や、海外を中心としたPLM(Product Lifecycle Management)ソフトウェアの発達など、この分野で紹介すべき進展もあります。こうした事柄を理解しながら、自社のBOMデータのあるべき姿について、考えるきっかけにしていただければと願う次第です。 BOM/部品表マネジメントに関心のある方のご来聴を、心よりお待ちしております。 <記> (1) 「製造業デジタル化のボトルネックを考える 〜 BOM/部品表のマネジメント入門」 日時: 2020年11月19日(木) 15:00〜16:30 主催: (株)三菱総合研究所 セミナー:「DX戦略の実現に向けたデータマネジメント 〜 BOM/部品表のマネジメント」 内容: ・製造業デジタル化のボトルネックを考える 〜BOM/部品表のマネジメント入門 日揮ホールディングス株式会社 佐藤知一 ・サプライチェーンをまたいだデータマネジメントに貢献するSImount(シマント) 株式会社シマント 代表取締役 和田 怜 株式会社シマント CTO 渡邉繁樹 (SImountというユニークなnon-SQLデータベース技術を持つベンチャー企業さんです) ・DX戦略策定と実装 株式会社三菱総合研究所 企業DX本部 DX戦略グループリーダ 中西祥介 セミナー申込み: 下記をご参照ください (2) 「BOM/部品表の基礎とBOM構築の成功ポイント」 日時: 2020年11月25日(水) 10:30〜17:30 主催: 日本テクノセンター 本セミナーでは、BOMの基本概念の再整理からはじめて、マテリアル・マスタの統一、BOMの応用テクニック、そしてBOM構築プロジェクトの進め方について、演習をとりまぜつつ、平易に解説します。特に、BOM構築の3つの難所について重点的に説明し、E-BOM/M-BOMの乖離問題などについても、詳しく述べます。一日セミナーですので、じっくりと学ぶには最適です。 なお、量産型製造業だけでなく、拙著「BOM/部品表入門」で触れられなかった個別受注生産でのBOMの取扱いなどにも光を当てて、「自分で考え身につく」セミナーを目指します。 セミナー申込み: 下記をご参照ください(有償です) なお、PC環境等の制限によりオンライン視聴が難しい方は、日本テクノセンター研修室でも受講が可能です。 以上、よろしくお願いします。 (佐藤知一) <関連エントリ> →「ふーん、デジタル時代には双方向のインテグレーションが必要って事?」 (2020-11-08)
by Tomoichi_Sato
| 2020-11-11 23:31
| B5 BOM(部品表)
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