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お知らせ:プラントのレイアウト(Plot Plan)最適設計手法に関するウェビナーを開催します(11月13日11:00〜)

えー、続き物の記事の途中ですが、ここでまたスポンサーからお知らせです(笑)

以前の記事で、設計行為には4つのレベルがある、と書きました。
1. 選択問題(選択的決定):設計の選択肢からどれかを選ぶ(いわゆるカタログ・エンジニア)
2. 求解問題(演繹的決定):科学技術計算で、主要な設計変数を逐次導出する
3. 最適問題(最適化決定):評価関数を最大化する設計変数の組を探索する
4. システム合成問題   :多軸的な評価関数をバランスよく満たすような構造と機構を合成する

この順で、設計は難しくなります。と同時に腕の見せ所でもあり、エンジニアにとって、やりがいが大きくなる訳です。とくに4番目のシステム合成問題は、複数の評価関数をバランスよく満たす必要があり、多目的最適化の考え方が必要になります。

その典型が、工場・プラントの3次元レイアウト設計問題でしょう。工場の全体レイアウト(プラントの場合はプロットプラン=Plot Planと呼びます)を決める仕事は、考慮すべき項目の多い、難しい仕事であり、ふつうはかなりのベテランが取り組みます。

基本的には、工場やプラントの製造工程を構成する機械・装置群を、ムダなく配置し、かつ、モノの流れや人の動線が短く、合理的となるよう設計すれば良いのです。ただし実際には、ある流れを優先すると、別の流れの邪魔をしたり、敷地効率を追求して詰め込みすぎると、機械のメンテに支障をきたしたり、といった問題が発生します。つまり、「あちらを立てればこちらが立たず」=『トレードオフ現象』が生じるのです。

このような複雑なレイアウト設計問題に対し、コンピュータの力を借りて、最適化問題としてアプローチしようという考えは、以前からありました。しかし、ちょっと調べれば分かりますが、「計算爆発」「次元の呪い」「NP完全問題」など、恐ろしそうな言葉が並ぶ分野です。最適化どころか、実行可能解を一つ求めるだけでも大変という世界でした。

さらに、評価関数が複数あるので、それらの線形荷重和を最小化する、というアプローチが多くとられてきました。でも、それは結局、多目的なモデルの評価を、単一目的の最適化で解いている訳ですから、問題の全体構造を俯瞰して、トレードオフを考たりするのは難しいのです。しかも、配置問題においては、定量化できる評価軸ばかりとは限りません。むしろ、定性的な評価項目も結構多く存在します。

という訳で、やはりレイアウト設計はベテランの経験と勘に頼る、という時代が長く続いてきました。そして人手でやる仕事ですから、案は一つか、せいぜい少し変えた2案を比較する程度が限界でした。

この限界を打ち破りたい、と考えたわたし達は、あらためて問題を根本から考え直してみました。最適化問題は、モデリングが命です。対象の系を、どのような要素に分解するか。それをどう組合せるか。そして制約条件をも、目的関数化できるか。これがポイントです。そして、トレードオフ状況の中で、ユーザが対話的に、もっとも満足できるバランスを探すような仕組みを作りたいと、技術開発を続けてきました。

今回、ようやく、その成果を公開できる段階に達しましたので、一緒に開発してきた同僚・仲間と、ウェビナーを開催することになりました。題して、

プロットプラン自動設計システム「Auto Plot PATHFINDER」
〜 プロットプランを最適設計する新しい方法 〜

このセミナーでは、良いプロットプランの条件とは何なのかについて考え、日揮が開発した、最適なプロットプランを設計する新しいシステム「Auto Plot PATHFINDER」について、ご紹介します。またゲストとして、当分野の権威である香川大学教授 荒川雅生氏から「多目的最適化の最新の技法」についての解説もいただきます。

日時:2020年11月13日 11:00 - 12:00 AM
(事前登録制、参加無料です)

講演者:崎山弘道(日揮グローバル)、佐藤知一(日揮ホールディングス)
ゲスト:香川大学教授 荒川雅夫氏

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なお、内容の概略については、以下の短い動画でのご覧になることができます。
YouTube :
LinkedIn :

工場・プラントのレイアウト問題に対する、次世代の新しい設計手法にご興味のある皆様の、幅広いご参加をお待ちしております。


日揮ホールディングス(株) 
チーフ・エンジニア(Business Analyst) 佐藤 知一


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by Tomoichi_Sato | 2020-11-05 00:12 | 工場計画論 | Comments(0)
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