戯曲 アインシュタインの秘密 (叢書 知性の華)
これは素晴らしい。本書は翻訳書の体裁をとっているが、じつは科学史家・唐木田健一氏の変名による、戯曲形式の独特な科学論である。 アインシュタインは今では20世紀の天才の代表と言われているが、彼が初期の研究業績である光量子やブラウン運動の論文を発表したときは、ベルンの特許庁職員だった。大学に残りたかったのだが、優秀でなかったため職が得られなかったのだ。また彼は後にノーベル賞を受賞するが、相対論の業績に対するものではなかった。それは周囲のアカデミズムが愚昧だったためなのか? 必ずしも、それだけではない。そこには革命的な新理論の危うさ、科学と政治との関わり、そして科学者の地位を支える基盤、という問題点がある。本書はそれらの論点を、三幕ものの戯曲して、それぞれアインシュタインと共同研究者との対話の形で明らかにしていく。 とくに、第一幕での対話で、コペルニクスの地動説やドルトンの原子論という、いわゆる物理学史における革命的な理論が、登場時にはいかに強引かつ不正確だったかを克明に示す部分は、読む人間にとって新鮮な驚きを与えてくれる(観測事実を正確に表すという意味では、その前のプトレマイオス修正天動説の方がずっと精密だった)。この事実を語るのが、プロシア科学アカデミーから「相対論はユダヤ的」として攻撃を受けている最中のアインシュタイン自身である、というのがこの戯曲の趣向である。 ところで、アインシュタインの対話の相手は、第一幕はデービッドという大学院生、第二幕は実在の科学者インフェルトだが、第三幕は東洋人の科学者ヨッシュ・ヤンノートという正体不明の人物である。科学者という身分自体を問い直す、このヤンノートとは、実は「磁力と重力の発見
by Tomoichi_Sato
| 2010-07-08 22:13
| G 書評
|
Comments(0)
|
検索
カテゴリ
全体 A 生産マネジメントとSCM A1 生産マネジメント全般 A2 生産計画と生産スケジューリング A3 在庫・調達計画 A4 コスト・品質・安全 A5 BOM(部品表) A6 サプライチェーン B プロジェクト・マネジメント(PM) B1 プロジェクト・マネジメント全般 B2 スコープ・WBS・プロジェクト組織 B3 プロジェクト・スケジューリング B4 プロジェクト・コストと見積 B5 プロジェクトの価値とリスク B6 プログラム・PMO・ガバナンス C システムとしての工場 C1 工場計画論 C2 スマート工場論 D 情報システムのマネジメント D1 製造業のITシステム D2 ITアーキテクチャ・データ活用技術 D3 ITって、何? E ビジネス・マネジメントと管理技術 E1 マネジメントの技術論 E2 設計のマネジメント E3 組織・経営・戦略論 E4 ビジネスのソフト・スキル E5 時間管理術 E6 メンタルと働き方のマネジメント F 考えるヒント F1 思考とモデリングの技法 F2 社会・言語・文化 G 書評 H English articles 未分類 最新の記事
記事ランキング
著書・姉妹サイト
ニュースレターに登録
私のプロフィル My Profile 【著書】 「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書 「時間管理術 「BOM/部品表入門 (図解でわかる生産の実務) 「リスク確率に基づくプロジェクト・マネジメントの研究 【姉妹サイト】 マネジメントのテクノロジーを考える Tweet: tomoichi_sato 以前の記事
2026年 05月 2026年 04月 2026年 03月 2026年 02月 2026年 01月 2025年 12月 2025年 11月 2025年 10月 2025年 09月 2025年 08月 more... ブログパーツ
メール配信サービス by Benchmark 最新のコメント
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||