「ITって、何?」掲載にあたって

これから何回かに分けて掲載する「ITって、何?」という話は、わたしが数年前に書きためて、一部の方に公開した原稿です。IT(情報技術)というものの意味と意義を、使い手の側に分かってもらうことを意図して、この対話編をつくりました。今の時点からみると若干古い部分もあるとは思いますが、技術論が主眼ではないので、まだ多くは通用すると信じます。

当時も今も、ITに関しては、作り手のための技術的情報はあふれていますが、使い手との間の意識のギャップはむしろ広がるばかりという気がします。本屋にいけばIT関連コーナーに本が平積みされていますが、そのほとんどは内部の仕組みを解説した技術論か、有名企業の成功事例を紹介した経済評論ばかり。いわば、園芸の本をあけたら、種と、みのった果実の話だけしかない状態です。ユーザが知りたいのはその中間の話、木の姿かたちと性質、育て方なのに。

また政府の政策やメディアの論調などをみても、IT産業論はいまだに、コンピュータという名前の電子機器や通信ネットワークのインフラを提供する企業の育成支援が主眼で、それにソフトウェア開発業界の強化が付け加わる程度です。つまり、供給者サイドの政策ばかりで、使用者サイドの視点が足りていません。この溝を埋めない限り、本当の意味でITの価値が日本社会に受け入れられることはないでしょう。使用者側の意識と理解が高まらないと、IT業界は苦境から脱せないばかりか、一般企業における真の競争力も高まらないのです。

・・まあ、そこまで大げさなことは言わないにせよ、私たちが日常で接するITという道具について、この小さなストーリーが、読者の方にとって多少なりとも考え直すきっかけとなれれば、幸いです。

週1回のペースで掲載していく予定ですので、よろしければ、どうかおつきあいください。
by Tomoichi_Sato | 2010-09-23 22:02 | ITって、何? | Comments(0)
<< 「ITって、何?」 第0回 疑... 組織のピラミッドはなぜ崩壊した... >>